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2009-10-05 12:33
鳩山内閣の補正予算見直しは、これでよいのか?
大藏 雄之助
評論家
2009年度の補正予算見直しについて、鳩山内閣はマニフェスト実現の財源を捻出するために、10月15日までに3兆円の削減目標を立てているが、各省の執行停止事業の積み上げでは2兆円程度に留まっており、難航している。基本的には民主党のばらまき公約の誤りであり、その矛盾は来年度予算の編成でのっぴきならぬ事態に直面することになろう。
ところで、先日テレビ朝日の夜の番組で東京都の猪瀬直樹副知事が「どんな問題でも2割程度の調整は可能なのだから、14兆円の当初補正予算の2割カットを命令すれば簡単だ」という趣旨の発言をしていた。この時の主題は東京のオリンピック招致失敗であって、政治家としての考え方はついでに尋ねられたものであったが、これは民主党のマニフェスト一本槍の硬直した方針を助長する、まったく愚かな手法である。
確かに「一律20パーセント削減通達」は容易であろう。どの省庁も同じだということなら官僚は一応納得して、その枠内で施策を講じるに違いない。これは自民党政権下でも大蔵省(当時)の「ゼロ・シーリング」査定で行われたものと同類である。政権交替にともなって今いちばん迫られていることは、真に不要不急なものを切り捨てて、一方手当てすべき部署には十分な資金を投入すべきなのである。
猪瀬方式の限界は、すでに道路公団改革の折に証明済みであるが、注意すべきことは、ジャーナリズムが政治家のいい加減な発言をきちんとチェックしないばかりか、しばしばそれに迎合的な対応をする点にある。特にテレビは影響力が大きいから、司会者が「なるほど」と感心してしまえば、視聴者も「そうか」と納得してしまう。日本のマスメディアが社会の木鐸として機能するためには記者やニュースの解説者が政治家以上の知識を備えなければならない。
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