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2009-08-03 09:27
政権交代は可能だろうか
大藏 雄之助
団体役員
衆議院は解散された。まだ公示はないが、8月30日の投票日は確定していて、すでに選挙戦は始まっている。民主政治の要諦は政権の交代にあると言っても、過言ではあるまい。日本のように50年以上もほとんど自民党の支配が続いていることは、先進国では異例に属する。しかしその内実は、自民党に代わりうる政党がなかったことにある。1955年体制下の社会党は、特に外交・防衛問題等であまりにも非現実的な政策を唱えていて、一党独裁防止の歯止め役にすぎず、政権担当能力はなかった。
1964年10月に私はロンドンに駐在していて、労働党政権の成立を見た。当時イギリスの景気は決して悪くなかったが、13年間の保守党政治に国民は少々飽きていたように思う。総選挙が近いと噂されるようになった時、左派出身のウィルソン労働党首は突然一連の穏健な公約を提示して、保革の差を縮小した。労働組合や一部の学者は「変節だ」と非難したけれども、ウィルソンは動じることなく、「単に選挙で勝つのではなく、下院の絶対多数を占めて安定政権を樹立するためには、選挙民に安心してもらわなければならない」と言明して、成功した。
次の内閣の首班と目される民主党の鳩山由紀夫代表は、新テロ特措法反対を撤回して、海上自衛隊のインド洋給油活動を当分継続する考えを明らかにした。非核三原則も曖昧にしている。当然社民党は激怒しているが、従来自民党に投票してきた層の誘因には効果があろう。
内政において民主党が主張している諸政策、例えば年金最低保障額引上げ、農家戸別所得補償、公立高校無償化などは結構なことではあるが、消費税も上げずに、無駄を省くだけで実現できるとは、到底思えない。予算編成に着手すればたちまち財源難に陥り、マニフェストは破綻するだろう。党内には右翼から左翼までいて、ばらばらだと言われる。政界再編によって、小選挙区制の狙いだった真の二大政党制に移行することができるのだろうか。
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