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2009-05-26 09:19
(連載)日本国憲法の前文と9条について考える(2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
国際法では、国家は国際法に従う義務はあるが、それを満たせば諸国家は平等である。他国と対等関係に立つために、ここでいう「政治道徳の法則」(その内容は必ずしも明確でない)に従わなければならないということはない。それに従っていないから、その国を対等とみなさないという考え方は、危険な考え方である。
憲法9条は、こういう前文で表明されている考え方と密接不可分な関係にある。要するに、国際政治や情勢についての根拠のない楽観的な考え方に基盤を置いている。これは理想主義というより、夢想主義に近い。
石橋湛山は勇気のある言論人であり、戦前日本の帝国主義的な膨張に異議を唱えた。その石橋湛山は戦後、憲法について「憲法前文が描くような国際社会はまだできていない。したがって、理想は理想として掲げつつも、そういう国際社会ができるまでの間、憲法9条の適用は停止すべきである」と述べている。この石橋湛山の考え方は常識的な判断である。憲法の平和主義を日本の国際的役割を制限するために振り回し、結果として日本を「自国のことのみに専念させる」嫌いのある議論は、考え直してみる必要がある。(おわり)
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(連載)日本国憲法の前文と9条について考える(1)
茂田 宏 2009-05-25 20:40
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(連載)日本国憲法の前文と9条について考える(2)
茂田 宏 2009-05-26 09:19
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