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2009-05-12 23:32
北方領土は道義の問題である
橋本 量則
派遣社員
ロシアのプーチン首相が東京で麻生総理と会談した日、5月12日の産経新聞「正論」欄に掲載された、田久保忠衛先生の論説「四島譲歩では上坂さんも泣く」を拝読し思ったことを、以前から私が考えてきたことと交えて、少し述べさせていただきたい。
田久保先生は「私はロシアが北方領土問題の原点でもある道徳的に劣った国であるとの指摘をやめてはいけないと考えている」と述べ、「力」の重要な要素である「道徳」の必要性を主張されている。これは正しく正論であり、私も大いに賛同致すところである。私は日本のあらゆる政策は、道義に基づくべきであると考えている。
道徳や道義を語る上で重要なことは、不義や非道を見逃してはならぬということである。この道徳・道義を北方領土問題に当てはめるならば、日本は「千島列島すべての返還」を求めるべきである。ソ連が千島列島を占領したことは、明らかにソ連の非道である。そして、それを黙認したことは、アメリカをはじめとする連合国の不義である。千島列島は、千島・樺太交換条約で確定した日本固有の領土だからである。千島列島は日本政府が放棄したと言う人もいるだろう。しかしそれは、連合国との関係における政治的、法的な妥協であって、道徳・道義の問題を解決したことにはならない。今、千島の問題で論ずるべきは道徳・道義なのである。
主権国家の固有の領土を武力により奪うことを禁じた国連憲章を作ったのが、他ならぬ連合国だということを忘れてはならない。ソ連の千島占領は、国連憲章の精神にも反するのである。現在日本政府は四島返還を求めているが、それすら、ソ連の非道、連合国の不義を半ば黙認した上での要求であり、道徳・道義に悖る。したがって、日本は道徳・道義に基づいて堂々と千島全島の返還を要求すべきなのである。日本の進むべき道は、義を捨てて、利を得ることではなく、利を捨てて、義を貫くことである。古来日本人は、義を貫くためなら醜(しこ)となることを厭わなかった。今、千島問題には「醜のますらを」の「力」が求められている。
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