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2009-04-14 09:37
グルジア政治:新たな革命?
茂田 宏
元在イスラエル大使
4月9日、グルジアの首都トビリシでサーカシュビリ大統領の退陣を求める大規模なデモが行われた。全野党がこのデモを支持しており、昨年8月のロシア・グルジア戦争でのサーカシュビリの指導への反発、経済の不調などが背景にある。サーカシュビリ支持者であった前議会議長ニーノ・ブルジャナゼやイラクリ・アラサニア前国連大使体もデモ支持に回っている。
デモ主催者はトビリシで10万人の参加者を予定していた。報道によると、参加者は約6万人であった。しかし過去6年間、反サーカシュビリのデモは何度もあったが、参加者数は最大で1.5万人程度とされている。それに比べると今回のデモは大きい。ちなみにサーカシュビリを大統領に押し上げるきっかけになった2003年の「バラ革命」のデモ参加者は10万人であった。デモは平和的に行われ、死者や怪我人は出なかったとされている。
4月10日、サーカシュビリは野党勢力に対話を呼びかけ、選挙法改正、議会の権限を強化する憲法改正、トビリシ市長の直接選挙を含む地方制度改革などを、一緒に真剣に討議しようと提案した。しかし野党側はデモを継続する構えである。事態収拾のメドはまだない。ロシアは、サーカシュビリを相手にせずとの姿勢である。したがって、グルジア内でのサーカシュビリ追い落としの動きを歓迎しているであろうが、野党が親ロシアであるわけではない。
グルジア北部の南オセチアとアブハジアは、昨年8月のロシア・グルジア衝突後、ロシアがその独立を承認し、現実にはグルジアから分離された状況にある。グルジア南部のアジャラ地方にも分離運動がある。この地方にはグルジアの重要港湾バツーミがある。2004年、この地方は反サーカシュビリ運動を起こし、サーカシュビリに鎮圧された経緯がある。この地方の分離活動をロシアが支持しようとする兆候がある。今次の反サーカシュビリ運動が、アジャラ地方にも広がれば、問題は複雑化する。
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