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2009-02-16 02:27
進行する資本主義の全般的危機
前田 進
自営
米国では、2月13日に7870億ドルのの景気対策法案を上下両院が可決した。オバマ大統領がサインして発効する。しかし、景気上昇を強く押し上げる支出対象が限定的で、オバマと民主党の人気取りと共和党への譲歩の色彩が濃厚だ。この景気対策だけでは、景気回復には無力だとの見方が、米国マスコミで一般化しつつある。これで、米国経済の急速な回復の可能性は消えた。「オバマの奇跡は起らない」と予言したロシアのパナーリン教授の指摘は正しかったということになる。
英国、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、アイルランドのEU6ヵ国とスイスの経済も、危機的状態にある。現在の金融・経済恐慌は2009年にはさらに本格化して、数年間深刻化し続けるであろう。西欧の被雇用勤労者大衆の生存は、益々脅威にさらされることになる。西欧では金権支配のダムが決壊しつつあり、それは上記7カ国だけの問題ではない。
日本でも、麻生首相が「日本が世界で最初に危機から抜け出す」などと根拠のない気休めの発言をして、10%台の内閣支持率の回復を図ろうとしているが、麻生の自公政権が続けば続くほど、危機は益々深まり、労働者の大量解雇と生存の脅威が拡大・深化するだろう。ロシアでは失業者が600万人に達したが、近く700万人に増えると当局が発表している。中国でも、1億3千万人の農民工とその他数千万人の労働者が首切りの脅威に直面している。
要するに労働者の世界的な生存の危機が拡大・深化しつつあるなかで、支配層の無能・無力さが露呈され、資本主義の全般的危機が進行している状況だ。活路は、金権支配体制の枠内での過去の経験の惰性的な焼き直しでは得られない。財源は幾らでもあるのだから、衣食住、医療、教育の無償保障から始めて、グローバルな規模で社会革命の突破口を開くべきである。その連鎖反応の広がりのなかでのみ、人類はこの未曾有の危機から脱出することができるであろう。
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