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2009-02-09 11:41
常勤参与だより(1):「第45回外交円卓懇談会」について
若林 秀樹
日本国際フォーラム常勤参与
2月6日開かれた日本国際フォーラムの第44回理事会にて、正式に常勤参与としてご承認いただきました若林秀樹です。ご挨拶をかねて、最初の「常勤参与だより」をお届けいたします。2月4日に開催された第45回外交円卓懇談会のもようについて、感想を述べさせていただきます。外交円卓懇談会は、海外で活躍する各方面の専門家(日本人を含む)や在京の各国大使などからお話を伺い、その後率直な意見交換を行う懇談の場ですが、今回は「秘密警察独裁に落ちたロシアとカフカスの紛争」と題して、ジャーナリストの常岡浩介氏からお話を伺い、そのあと懇談しました。
常岡浩介氏は、NBC長崎放送記者を経て、アフガニスタン、エチオピア、チェチェン、イラク、パレスチナなどの戦場で取材を続けているジャーナリストですが、今回は2001年5月よりチェチェン独立派のゲラエフ司令官と行動をともにした従軍取材の体験談をお伺いしました。ロシアFSB(連邦保安局、ソ連時代のKGB)の強力な抑圧下で、無法状態におかれているチェチェンのひとたちの悲惨な実態について、衝撃的な事実を伺いました。くわしくは、常岡氏の近著『ロシア・語られない戦争・チェチェンゲリラ従軍記』(アスキー新書)をお読みいただければ、と思います。
14年間のチェチェン戦争の期間に奪われたチェチェン人の人命は25万人、欧州等へ溢れ出した難民の数は20万人だそうです。しかし日本では、9・11テロやイラク戦争の報道はあっても、チェチェン紛争の正確な情報はほとんど報じられず、「チェチェン紛争は、ロシアの国内問題」として位置づけられてはこなかったか、また9・11テロ以降はチェチェン独立派の活動が「同じテロ活動」として巧妙にすり替えられてはいなかったかなど、次々に疑問が湧き、まさに「見捨てられた悲劇」だったのではないかとの思いを強くしました。
また、ロシアという国は、帝政時代、ソ連時代をつうじて常に秘密政治警察によって支配されてきたことを知り、今日のロシアの内政やそれを反映して繰り広げられるチェチェン戦争の背景や意味がより深く理解できたような気がしました。私が3年前にロシアを訪問したとき、ロシア人の知人が「今日のロシアは、ソ連時代よりも、もっと言論統制が厳しく、自由がない国になってしまった」と言っていたことを、改めて思い出しました。当日のより詳細な「メモ」は、近く当フォーラムのホームページに掲載されますので、ご関心のある方はそちらもご覧ください。
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