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2009-02-03 00:24
所長だより(5):「第44回外交円卓懇談会」について
村上 正泰
日本国際フォーラム所長
今回の「所長だより(5)」では、さる1月28日(水)に開催された第44回外交円卓懇談会について、所感を述べます。外交円卓懇談会とは、日本国際フォーラム、グローバル・フォーラム、東アジア共同体評議会の会員、メンバー、議員が、海外で活躍する専門家や在京の各国大使などと率直かつ内輪で懇談するための場ですが、今回はハルン・アミン駐日アフガニスタン大使をスピーカーに招き、「アフガニスタンにおける『テロとの闘い』の現状」と題して開催されました。
アミン大使は、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件後に反タリバン抵抗戦線UNIFSAスポークスマン、在米アフガニスタン大使館次席公使や同臨時代理大使などを歴任された後、2004年から駐日大使を務めておられますが、2002年には雑誌『ニューズウィーク』で「将来を担う人、世界を変える77人」の1人に選ばれるなど、国際的に注目を浴びている外交官です。米国で「テロとの闘い」の焦点をイラクからアフガニスタンにシフトさせる方針のオバマ新政権が発足した直後に、アミン大使から「アフガニスタンにおける『テロとの闘い』の現状」についてお話をお伺いできたのは、大変タイムリーであり、示唆に富むものでした。
アミン大使は「米国同時多発テロ事件を契機に、テロリストに対峙した世界的な連帯と国際協力が広がっているが、それから8年近くが経った今、失望も大きい。武力衝突は前年比30%増、死者8千人以上と、2008年は最悪な1年となった」と述べ、アフガニスタン情勢が厳しさを増していることを指摘したうえで、今後のアフガニスタン復興に対する協力拡大への期待を表明されていました。特に、わが国について、「日本は『テロとの闘い』に貢献するにふさわしい中立的立場にある。我々は過去7年間の日本のアフガニスタン支援に感謝している。同時に、日本は今以上の貢献をすることができると期待している。日本の国内政治は難しい情勢にあるが、日本は『テロとの闘い』のために一丸となって何ができるか議論し、アフガニスタンの進むべき正しい道を見極めてほしい」と述べておられたのが印象的でした。わが国では戦後一貫して憲法第9条の前に思考停止に陥り、いまだに国会では党利党略も絡んだ憲法論争ばかりが盛んですが、今こそ「あれもする」「これもする」という「積極的平和主義」(伊藤憲一『新・戦争論』新潮新書、2008年)への転換が求められているということを、アミン大使の講話を伺いながら改めて痛感しました。
当日のより詳細な「メモ」につきましては、近く当フォーラムのホームページに掲載されますので、ご関心のある方はそちらをご覧ください。
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