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2010-04-05 15:06
ゆうちょ銀行は国債の購入に専念すべし
塚崎 公義
久留米大学商学部教授
ゆうちょ銀行の預け入れ限度額拡大に対し「外国企業に不利な待遇である」といった懸念を、在京の欧米大使が表明しているらしい。そうであれば、それは実態に鑑みない形式的な議論であり、懸念は杞憂である。
第一に、ゆうちょ銀行の集めた資金は主に国債購入に使われているのであるから、実態は「財政赤字の穴埋めのため、国が郵便局の窓口で庶民から借金をしている」というだけの事である。国有銀行であるゆうちょ銀行が民間銀行より有利な条件で資金を集めたからといって、それ自体が問題となる話ではない。極論すれば、「郵便貯金証書」を「国債」と印刷し直すだけで、問題は解決するのである。
第二に、在日外銀は庶民から預金を集めるビジネスには注力していないため、ゆうちょ銀行の預金限度額が拡大しても、外国銀行とのバッティングは生じない。かんぽの補償限度額引き上げに関しても、外資系損保の多くはかんぽ生命と異なるビジネスモデルを採用しており、バッティングの度合いは限定的であろう。
問題が生じるとすれば、ゆうちょ銀行が集めた資金を国債購入以外に使おうとする場合であるが、貸出や運用のノウハウに乏しいゆうちょ銀行は、高度なノウハウを駆使する外資系金融機関の敵ではなかろう。むしろ集めた資金を外資系金融機関に運用してもらう、という事になる可能性の方が高いのではなかろうか。なお、外交という観点からは外れるが、ゆうちょ銀行が貸出や運用に乗り出す事は、国内の中小金融機関を圧迫するとともに、ノウハウの乏しい機関が不良債権や投資損失を抱える可能性も高い。その意味では、国有銀行は国債の購入に専念して、財政赤字の穴埋めに徹する事が望ましい。
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