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2008-12-22 00:00
政界再編:中川秀直では、いささか力不足
杉浦 正章
政治評論家
新党旗揚げが取りざたされている自民党元幹事長・中川秀直が、発言を一歩前進させて、総選挙前に「旗を立てる」と言明した。「旗揚げ」と誤解されそうな言葉だが、むしろ政策面で「この指とまれ」型の政策ビジョンを打ち出すという意図のようだ。しかし政局判断においても、消費税問題や小泉構造改革路線継続などの政策上の主張にしても、中川は現段階において方向性がずれており、迫力にも欠ける。果たして「この指にとまる」与野党糾合をできるだろうか、疑問だ。これまで「選挙が終わった瞬間に判断する」と述べてきた中川だが、21日の民放番組では「選挙の前に未来のビジョンの旗をみんなで立てないといけない」と発言した。狙いは、持論の政界再編に向けての核となる政策を打ち出して、選挙後の再編に備えるというものだろう。しかし中川構想には致命的な欠陥が、政局面でも、政策面でもある。
まず政局判断では、自民党と民主党がいずれも過半数を取れないような状況を想定していることだ。その可能性もないではないが、各種世論調査の傾向は現段階では、自民党に神風でも吹かない限り、民主党政権の流れだ。民主党が単独政権の場合、代表・小沢一郎が中川を必要とするかは、疑問だ。中川は、たとえ民主党政権になっても、民主党のばらまき政策がが破たんし、「民主党の中からいろいろな動きが出てくる」と述べているが、寸前暗黒の政界で、民主党政権が倒れるケースまで予測してビジョンを設定し、「この指とまれ」といっても、誰がついて行くだろうか。政策面でも主張が弱い。首相・麻生太郎が2011年に消費税導入を打ち出したことに関しても、「経済財政諮問会議の中期プログラムを見て、驚いた」と評論家調であり、真っ向から「反対」と言い切っていない。
マスコミの論調が麻生の決断に総じて同調していることも、動きを鈍くさせているのかも知れない。「11年段階では、景気のどん底で増税することになる」との立場だが、財務相・与謝野馨は景気が「上昇に転じた場面での増税」との見方であり、「影響は景気の上昇が鈍化するにとどまる」と見ている。中川が固執する小泉改革路線にしても、例えば派遣労働法の見直しが必要なことは、火を見るより明らかであり、財政出動が世界的潮流となる中で、中川の主張はどうみても金融危機という時代の緊急性に後れを取っている。問題は中川が定額給付金で、山崎拓のように反対を打ち出すかどうかだ。打ち出せば少なくとも17人の造反が可能となり、政局となる可能性は強い。しかし、その度胸はあるまい。
だいいちそんなことをすれば106人が集まるという中川肝いりの議員連盟「生活安心保障勉強会」が霧散する。そういう事態に備えて、前首相・安倍晋三ら多数のお目付役がが参加しているのである。つまり中川自身の政界再編路線が実現できなくなる。町村派内は、森喜朗・町村信孝と中川の対立が一触即発の状況にあり、森が「政策を国民にアピールしておいて、一党をつくろうという考えが多少ある」と「中川新党」の狙いををいち早く指摘したのも、早期にその芽をつぶすためにほかならない。こう見てくると中川の政界再編構想は「身を投げ出している」とする発言とは裏腹に、模様見、及び腰であるといわざるを得まい。愛人通いや右翼との会食などのスキャンダルが報道され、官房長官就任3ヶ月で辞任に追い込まれるなど、私的問題も糸を引いており、政局の大舞台を回すにはいささか力不足の感は否めない。
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