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2008-10-08 00:00
朝日新聞は「不偏不党」を掲げる自らの「綱領」を逸脱している
杉浦正章
政治評論家
実に朝日新聞の影響力は大きい。社説が「この状況こそ政治空白」と書けば、民放テレビのコメンテーターらはおうむ返しに「今が政治空白」と繰り返す。その朝日が、選挙が近づくと、自社の綱領にある「不偏不党の地に立って言論の自由を貫き・・」からなぜか抜け出て、明らかに民主党寄りになる。一昔前は社会党寄りになったものだ。朝日は提携している米高級紙ニューヨーク・タイムズと同じリベラル言論の代表紙だが、違う点はニューヨーク・タイムズが民主党支持を公然と標ぼうして論調を展開しているのに対し、朝日は綱領に「不偏不党」を掲げた上での民主党傾斜である。この路線は明らかに、何も知らない読者を“誘導”する効果をもたらし、自らの綱領を踏みにじるものとならないだろうか。
最近の著しい例を挙げれば、記事・社説挙げての早期解散のキャンペーンだ。それも勢い余ってか、意図してか、「10月26日投開票」を断定して、総裁候補・麻生太郎から「解散権が朝日新聞にあるかのような話でおかしい」と批判される始末。結果は政治報道史に残る大誤報となったが、悪びれるそぶりもないし、訂正も出さない。なぜ解散総選挙を急ぐのかだが、明らかに民主党への政権交代達成を意識しているからにほかならない。自民党独自の調査で壊滅的敗北が予想される中、早期解散でしゃにむに民主党への政権交代を実現させようとしている、としか解釈のしようがない。前述の政治空白論は10月3日付けの社説だが、同社説は解散先送りの流れに対し「金融危機の対応のためにも、総選挙を早く行え」「首相は政治空白をつくるわけにはいかないと言うかも知れないが、この状況こそが政治空白」と断じている。麻生が引き延ばしの理由で「政治空白をつくらないため」という発言をしたとは寡聞にして聞いたことがないが、「首相が言うかもしれない」と自ら状況を作って、論説展開の根拠とする、という乱暴な社説である。これまでに見たことがない。
一国の首相が、思惑はどうあれ、金融危機対策をやるべきだとか、給油法案の処理が優先、と主張するのを真っ向から否定し、政局に持ち込もうとする。これでは「何でも政局」の小沢路線と変わらないではないか。「早く民意に裏打ちされた正統性のある政権を作れ」と主張するが、社説には大きな法的事実誤認がある。麻生は憲法に基づき立法府で選出された正統性のある首相であり、「選挙管理内閣」という言葉は、新聞が勝手に名付けただけの名称で、法的根拠はない。社説子は憲法を読んだことがあるのだろうか。9月30日付けのトップ記事は「民主、公約財源を明記」とある。民主党が財源なしにばらまき政策を打ち出しているという批判が強い中で、「財源を明記した」と報じているのである。
しかし、読売新聞が社説で「財源の裏付けがあいまいな点はあまり変わらない」と疑問を呈し、毎日新聞も「これでは財源の裏打ちができたとは言い難い」と批判している。面白いことに、朝日自身の社説までが「ざっくりした数字をあげたに過ぎず、不明な点も多い」と指摘しているのである。それでも「明記」なのだろうか。3日付けの朝刊では、野党の資料要求を自民党が事前提示を求めていた記事を「自民、全省庁に要請」とトップだ。「民主反発、追及の構え」というサブ見出しも付いている。各社はさすがにトップには持ってこない記事だ。民主党が喜んで追及する場面は、かって社会党が朝日の記事を見て国会論戦に臨んだのと同じだ。
トップ記事だけを例に挙げたが、大小さまざまな記事が統一された形で、政権を早期解散に追い込もうとしている。もう一度綱領を紹介すれば、「真実を公正敏速に報道し・・」という精神にも矛盾する報道内容だ。そこには大新聞のおごりがあるとしか思えない。自分が書けば政治は動く。自分が書いて政治の流れを決める。そのおごりが「10月26日投開票」の誤報につながったとは思わないのだろうか。朝日新聞綱領は、つぎのように述べている。
一,不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確率に寄与する。
一、正義人道に基いて国民の幸福に献身し、一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う。
一、真実を公正敏速に報道し、評論は進歩的精神を持してその中正を期す。
一、常に寛容の心を忘れず、品位と責任を重んじ、清心にして重厚の風をたっとぶ。
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