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2008-09-01 00:00
(連載)地球規模課題で日本は欧米との協力を重層化せよ(3)
古川勝久
(独) 科学技術振興機構社会技術研究開発センター・フェロー
日本は、中国などのアジア諸国と共通の「アジア的価値観」なるものを共有している、との指摘がある。筆者もこのような価値観の存在を否定するものではない。しかし、現在、グローバル化が目覚しく進展してきた結果、様々な問題や課題が地球規模の意味合いを持ちうるようになっている現状を考えるならば、このような「アジア的価値観」のみでこれらの問題や課題に対応してゆくことにも、ある一定の限界が考えられるのではないか。
もしそうだとしたら、今後、中国やインドなどのアジア諸国やロシアと向き合ってゆく上でも、日本は、米国に加えて、自らと似通った価値観を抱く欧州諸国とも、これまでよりいっそう緊密な協力関係を多分野で育成してゆくことには、大きな意味があるのではないだろうか。
中国についていうならば、経済力や軍事力のいずれをとってみても、日本が中国に対して絶対的な比較優位を確立するのは極めて困難であろう。米国防総省の報告書によれば、昨年度の中国の軍事費見積もりの最高額は、今や日本の防衛予算の3倍以上に達している。他方、日本の厳しい国家予算を考えれば、日本の防衛費を大幅に増額することなど、とても想像すら困難である。このような「定量的なレベル」で中国と張り合うのは、日本にとってはもはや割りにあわないゲームになっているのではないだろうか。
とすれば、日本は中国を別の土俵に移動させて、新しいゲームを始めるべきであろう。そこで、日本は、その考え方や価値観、感性などを最大限の外交的強みに転換できるよう、配慮すべきである。いわばソフトパワーを軸とした、新しいゲームをグローバルな土俵で展開してゆくことである。そうすれば、中国の影響力の増大に適切に対応し、また中国により効果的に関与してゆくことが期待できるのではないだろうか。(つづく)
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