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2008-02-20 00:00
防衛相は自ら辞任を
杉浦正章
政治評論家
2月19日にイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突し、漁船乗組員2人は2月20日現在依然行方不明だ。これは、内閣直撃の大事故である。延々と続いてきた防衛不祥事に“とどめ”を刺した形だ。内閣は国民に対する“お詫び”をしなければならない場面だ。防衛相石破茂の責任は免れないだろう。自ら辞任するべきなのが、この状況下だろう。
政治的に見ると、防衛省の不祥事は来るところまできた。防衛庁時代はイージス艦情報流出事件、省に昇格してからは事務次官の汚職、インド洋での給油量取り違えや航海日誌の誤廃棄と続き、昨年12月には横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で火災が起きた。そして極めつけとして、無辜の漁船員をおそらく死に追いやったイージス艦の衝突事故である。まさにくるところまできた感がある。1988年に神奈川県横須賀市沖で潜水艦「なだしお」と釣り船が衝突、30人が犠牲となった事故では、瓦力防衛庁長官(当時)が引責辞任している。犠牲者の人数に関係はない。
今回の事故の特徴は、なんと言っても一連の防衛省不祥事、海自の緊張感欠如の頂点に立つものであるという点だ。具体的に何故内閣が責任をとらなければならないかを指摘すれば、(1)防衛省全体が抜き差しならぬ“たるみ”の状況にあり、これが改善される兆しがない、(2)1400億円の巨費を投じて建造した海自近代化の象徴であるイージス艦による初歩的な人身事故であり、国民に言い訳が立たない、(3)危機管理がまさに至上命題である防衛省の危機管理能力のなさを内外に露呈し、国民の不信感を増幅させた、である。
同じ海難事故でも米原子力潜水艦と水産高校実習船「えひめ丸」の衝突事故では、横浜市内でゴルフをしていた森喜朗首相(当時)が、一報を受けた後もプレーを続けていたことが判明、辞任に追い込まれた。しかし今回のケースは、首相に管理責任はあるものの、対応に直接的な瑕疵はみられない。防衛相石破茂は能力的にも優秀であり、内閣の要ではある。しかし、ここは冒頭指摘したように、内閣が国民にお詫びをしなければならない状況である。民主党代表の小沢一郎が早くも責任論を称え始めたが、政党レベルの駆け引きで追い詰められる前に潔く辞表を提出すべき場面だ。泣いて馬謖を斬るという言葉もある。首相は防衛相を更迭すべきである。
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