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2008-02-18 00:00
日本は中国に安保理常任理事国化への支援を求めよ
角田勝彦
団体役員・元大使
2月の時事通信社世論調査によると、福田内閣の支持率は4カ月連続で下落し、32.5%となった。不支持の理由は「期待が持てない」が3割近くに達したのをはじめ、「リーダーシップがない」17.4%が多い。ねじれ国会の紛糾もあり、政治の空白が懸念されている。昨年10~12月期のGDPは、市場の予想を大幅に上回る成長となっているが、9日閉幕した先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の様子を見ても、物価の上昇傾向を見ても、「いまは解散・総選挙どころではない」との私の持論を変える必要はなかろう。福田内閣が粘り腰の強さで、一部で企まれている3~4月危機を乗り切ることを期待する。
ところで、ねじれ国会でのインド洋給油活動特別措置法の難航から、米国大統領選挙の動向にも関連し、このままでは「経済の失われた10年」のような「政治外交の失われた10年」が始まるのではないか、と懸念する声がある。北海道洞爺湖サミットを控え、日本の声が小さいのは確かに気がかりである。ご意見拝聴の姿勢も、謙虚さと受け取られれば悪くはないが、外交には言い得の部分がある。激しく繰り返し主張しなければ、聞かれないこともある。
米国との関係も重要だが、両国は基本的に良好な同盟関係にある。これに対し、我が国と中国の関係には微妙なものがあり、福田内閣の対中姿勢が注目されている。中国の対日姿勢も福田内閣の対応次第で変わるだろう。とくに胡錦濤国家主席の4月訪日は正念場となろう。隣国である大国への敬意を持ちつつも、言うべきことは言うべきであろう。ガス田協議や環境問題での協力もあるが、ここに提示するのは、さらに基本的な戦略の問題である。
すなわち、日本の安保理常任理事国化に関する中国の対応ぶりの改善への要求である。中国は、アジアで唯一の常任理事国という現在の地位を維持することが中長期的にその利益にかなうとの考えから、日本の常任理事国化に消極的であると見られる。その援助先国に、日本の常任理事国化(例えばG4案)に反対するよう働きかけたとの報道もあった。安保理での中国の拒否権行使の可能性すら危惧されたことがある。
この姿勢には、一昨年10月の安倍前総理訪中以降改善が見られ、昨年4月の温家宝首相訪日の際には国連改革の文脈で「中国側は、日本が国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいる」(日中共同プレス発表)と、より前向きの姿勢を示すに至った。さらに昨年12月の福田総理訪中の際には、総理が中国のより積極的な態度、大局的判断を要請したのに対し、温首相より「日本の国連における地位と役割を重視しており、日本が世界の平和と安定のためより多くの貢献を行うことを望んでいる」旨の発言があって、双方は、日中間で更に緊密に意思疎通をはかっていくことで一致した。そろそろ煮詰まってきたようである。
アジア、ひいては世界の安定と発展のため日中両国が手を携えていくことが望ましい、のは言うまでもない。中国側も「戦略的互恵関係」を唱えるのなら、その姿勢を示さねばならない。4月、胡錦濤国家主席の訪日の際、福田首相は、日本の常任理事国化について性根を据えて中国側の本音を質し、具体的に、より前向きの姿勢を引き出すよう努めるべきである。その反応により、中国の世界戦略も明らかになるであろう。
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