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2026-02-10 00:00
総選挙圧勝、ミドルパワー外交展開へ
鍋嶋 敬三
評論家
衆院総選挙(2026年2月8日投開票)で自民党は316議席を獲得した(公示前は198議席)。絶対安定多数の261議席を上回ったばかりか、参院では少数与党のため否決される法案の再可決や、憲法改正の発議に必要な3分の2の310議席をも単独政党として戦後初めて上回った。自民党は連立を組む日本維新の会(36議席獲得)と併せて352議席、全体の75%超を占めたことは、文字通り「歴史的圧勝」と呼べる成果であろう。高市早苗首相にとって政策推進の強力な追い風になった。公示直前に駆け込みで立憲民主党と公明党が立ち上げた「中道改革連合」は選挙前勢力の167議席から3分の1以下の49議席に激減、惨敗を受けて野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表は辞任表明に追い込まれた。
わずか1年3ヶ月前の衆院選で自民党が大敗、自民・公明連立政権は過半数割れの215議席にとどまり、石破茂政権の早期退陣につながった。短期間で政権政党への支持が極端に振れることは社会として大きな問題を抱えている。世界でも先進国で多党化や社会の分断が進み、それに加えてSNS(会員制交流サイト)の普及に伴う偽情報の拡散によって世論が予期しない方に動く傾向も見られる。法的な規制もなしに放置すれば選挙の動向にも影響を与え、政治の不安定化につながる恐れは十分にある。高市首相が圧勝におごらず謙虚な政治運営に徹すれば、次の参院選挙でも多数派獲得の道が開ける。安倍晋三政権でも果たせなかった憲法改正に向けた「黄金の3年」を手にすることも不可能ではないだろう。
かつて自民党vs.社会党の「55年体制」の下で、自民党は野党の政策要求を取り入れた政権運営に努めた結果、長期政権を維持することができた。半面、自民党の党是である憲法改正という保守の根幹にかかわる課題は棚上げされたままに終わった。政局の安定と自民党本来の基本政策の推進の両立は言うほど易しくなかった。政権維持が目的化してズルズルと左へウイングを伸ばして基本政策の実現にはブレーキがかかりっぱなしになった。これを「歴史の教訓」として立党の精神に立ち帰って自民党らしい政治ができるかどうかが、安倍氏を師と仰ぐ高市首相の腕の見せ所だ。妥協を繰り返していては、本来の自民党支持層の離反を招いて不安定な政治に逆戻りするだろう。
外に目を向ければ、世界は米国主導の国際秩序が大転換(パラダイムシフト)で大揺れだ。「米国第一主義」のトランプ2.0政権で中国、ロシア、北朝鮮、イランなどの専制国家との関係だけでなく、世界中を相手の高関税要求や同盟国であるデンマークの自治領グリーンランドの領有要求などで、戦後秩序の主軸となってきた米欧同盟内の対立が激化し世界の分断を強めている。日本は唯一の同盟国である米国との日米安保体制を外交・安全保障政策の基軸としている。だが「トランプの米国」の動向は猫の目のように変わりやすく予測不可能、不確実性が支配している。分断された世界において核大国でないミドルパワー(中堅国)としての役割を世界で発揮できる立場に日本はある。経済援助を軸に二国間、多国間外交を積み重ねてきた日本は東南アジアやアフリカなど地域協力外交を組織的に進めてきた。国連平和維持活動(PKO)など国際機関を通じた支援による野心のない日本外交は新興国(グローバルサウス)からも高く評価されている。環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した後に日本が奔走して再構築(CPTPP)、欧州連合(EU)を脱退した英国が加入するなど西半球、アジア、欧州をつなぐ大経済圏に育った。日本はインド、豪州とのQuadやフランス、ドイツ、イタリアなど欧州の主要国とも経済や安全保障の協力関係を急速に築いてきた。「日米」だけではない、世界中のミドルパワーとの連携の強化に日本外交の広がりと深みを見いだす時代を迎えたと言えるであろう。
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