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2015-04-22 00:00
「上から目線」と「誤報体質」が目に余るNYT
杉浦 正章
政治評論家
昔のニューヨークタイムズ(NYT)は世界で最も信頼すべき新聞と信じていたが、近年の同紙はニューヨークのタブロイド版よりひどい事実わい曲に満ちている。主張がリベラルで、編集方針が「左翼」に偏向しているのも自由であり、販売部数が激減して、もっぱら電子版に頼らざるを得ない経営状況なのも勝手だ。しかし、その経営状況の悪化が反映でもしたのか、最近の記事の質の低下と“粗雑さ”には目に余るものがある。その象徴が4月20日付の「安倍首相と日本の歴史」と題する社説で、まさに「誤報の山」だ。まず第一にあきれるほどの「上から目線」であることだ。社説は「安倍首相の訪米が成功するかどうかは、戦時の歴史に安倍氏が誠実に向き合うかどうかにかかっている」と指摘し、慰安婦問題を含め中国と朝鮮半島に与えた被害を直視すべきだと要求した。どうも東京駐在の欧米特派員は自分の国の有様を棚に上げて、普段から日本を低開発国並みに「教育的指導」する傾向が強く、社説もこれに影響される。しかし、もう明治維新の時代ではない。安倍が誠実に向き合おうがどうしようが、他国の3流記者から事実誤認だらけの指摘をされるいわれはない。
どうしても「歴史認識」に引っ張り込もうとしているようだが、まず今回の日米首脳会談の位置づけを大きく誤っている。首脳会談の本質は、日本が集団的自衛権の行使へと安全保障上の大転換を行い、日米関係は新たな同盟関係へと入る幕開けと位置づけられるものだ。日米防衛協力の指針(ガイドライン)も塗り替えられる。国力の衰えが著しい米国にとって、願ってもない新たな時代へと突入するのであって、オバマはこれを歓迎こそすれ、70年前の歴史認識をあげつらう意図などさらさらない。社説は「訪米が成功するかどうかは、日本の開戦の決定、中国や韓国に対する残酷な侵略、戦時中に多数の女性を性奴隷として働かせた戦時の歴史に、安倍首相がどれだけ誠実に向き合えるかどうかにかかっている」と指摘している。この中で決定的な間違いは「韓国に対する残酷な侵略」の部分だ。社説子は中学生でも知っている世界史のイロハを知らない。1910年に日本は韓国を国際法上もなんら問題のない「合邦」したのであって、侵略した事実はない。日本の朝鮮統治によって、奴隷制度は廃止され、識字率が向上し、人口は倍増し、衛生状態も改善したのである。米・英・仏・露も併合を支持し、米国は「日本の韓国併合はよき意図をもって行われ、韓国民の幸福のためになる」という声明まで出している。自分の国が出した重要声明くらい覚えておけと言いたい。
さらに社説は「韓国、中国それぞれとの間で領有権問題を抱えている島に関して、中学校の教科書に日本の領土であると記載したことについて、韓国と中国が批判している」と述べている。これも的外れな主張だ。中学の教科書検定で社会科の全教科書に竹島と尖閣諸島に関する記述が載ったことを受けたものだが、一国がその領土を正確に教育するのは中韓両国を含めて世界中の国々が行っていることだ。日本がこれまで教えていなかった方が異例なのであって、これを行ったからと言って、「右傾化」の根拠にされる理由はない。加えて社説は、安倍政権が戦時の「歴史の歪曲(わいきょく)」を試みた事例として、日本政府が昨年、慰安婦を性奴隷と位置付けた1996年の国連人権委員会報告の内容の一部撤回を要請したことを挙げた。
国連の委員会報告の中でも最も虚構に満ちた「クマラスワミ報告」を指しているのだが、この報告の核心となった朝日の大誤報「強制連行」や「女子挺身隊」が同紙の撤回で根拠がなくなった事実を知らないまま書いているとしか思えない。10年前の新聞の切り抜きを見ながら社説を書いているのではないかと思いたくなる。この社説ばかりではない。NYTの誤報は目に余るものがある。去る2月には安倍が「南京大虐殺は起きなかったなどと主張している」と報じ、官房長官・菅義偉が「著しい事実誤認」と抗議した。昨年暮れには 「慰安婦問題に関して安倍政権を含む右派勢力の朝日新聞への攻撃が強まっている」と報じ、官房副長官・世耕弘成が「安倍政権が朝日新聞やその記者を攻撃している事実は全くない」と反論した。このようにNYTの悪意に満ちた曲解と誤報と安倍政権に対するレッテル貼りはもうとどまるところを知らない状況となっている。対処の重要なポイントは、誤報の度に同社社長宛に政府なり大使館なりが文書で抗議し、“誤報犯”の反省を求めることだ。これしか打つ手はない。
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