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2014-08-25 00:00
ロンドンの戦争博物館を見て思う
岩崎 正洋
日本大学教授
先日、ロンドンの戦争博物館(Imperial War Museum)に行ってきた。何と訳すのがいいのかわからないが、「Imperial」という言葉が冠についている。この春先までは閉館されていたが、館内を随分と新しくしたらしく、館内はかなりきれいで、展示内容も充実していた。映像などのビジュアル的な展示もインパクトがあった。展示内容は、第一次世界大戦の特別展示があり、第二次世界大戦、湾岸戦争などで実際に使われた戦車や航空機、武器等をはじめ、軍服などが展示されていた。スパイについて特集している展示室があったり、ホロコーストに特化した展示室もあったりした。
ホロコーストの展示室は、14歳以下の子ども向きではないという表示がされていた。そこでの展示内容は、売店で小冊子となって売られていたが、生々しい写真も普通に示されていた。とりわけ、個々の展示物で気になったのは、まず日本に関係したものがあったことである。日本軍の兵士が出征の際に、まわりの人びとから、ナントカ君の出征記念のようなかたちで、いろいろと署名などが書かれた日の丸の旗の現物が展示されていた。当然のことながら、色あせているが、国旗に書かれた黒々とした墨の痕は生々しく、しばし足を止め、見入ってしまった。日本刀も10本か20本ぐらい飾ってあった。それ以外にも、戦時中の日本のチラシが展示されていた。戦時下で、いろいろとばら撒かれたチラシが何種類も束になって置かれていた。もちろん、日本語で書かれているから、日本のチラシだということがわかったのであるが、これほどまで、日本のことも展示されていることに驚いた。
そういえば、他の国々のことはあまり目に留まらなかったような気がする。もちろん、あることはあったが、日本の扱いというか、日本への関心なり、当時の歴史を紐解く際にともなう何らかの意識なりが、多少なりとも存在するのかもしれない。今年は、第一次世界大戦がはじまった年から100年目ということで、いろいろなイベントや刊行物がみられる。本や雑誌もかなりの数が刊行されている。ついつい、「日本では」という言葉が脳裏に浮かんでしまう。過去に起きた戦争の記録をいかに残すのかとか、どのような場所なり、どのような立場で残すのかとか、どのような視点から記録を扱うのかとか、いろいろなことを考えてしまう。
たとえば、広島や長崎における原爆の資料館や実際に被災した建物、沖縄のひめゆりの塔などもそうであるし、賛否両論さまざまな立場がみられるとはいえ、靖国神社や隣接する資料館など、日本にも戦争を記録した場所は存在する。国が公式に過去の戦争を記録している場所が普通にロンドンにはあり、無料で見学できる。親子連れも、観光客も、老夫婦も、若いカップルも見学に訪れている。日本では、どうなのだろうか。日本にそういったものが出来る可能性はあるのかとか、日本にあった場合に、ロンドンのように、いろいろな人が訪れるのだろうか、などとも考えた。
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