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2014-07-01 00:00
(連載2)第一次大戦後百年を迎えて
角田 勝彦
団体役員、元大使
ウィルソンは、第一次大戦勃発の基本原因は、列国の君主が恣意的な攻守同盟を結び、サラエボにおけるセルビア系青年によるオーストリア・ハンガリー帝国皇太子暗殺という小事件を契機とする宣戦布告が連鎖的におこなわれたことにあると考えた。このため「十四か条」の冒頭で、秘密外交の廃止と、外交における公開原則を提唱したのである。末尾の同盟に変わる「国際平和機構の設立」は国際連盟に結実し、第二次大戦後、国際連合の集団安全保障体制に強化・引き継がれている。
戦争の百年の歴史を振り返れば、集団的自衛権の閣議決定案の冒頭にある「我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容」との認識には疑問を呈さざるを得ない。米ソ冷戦は終わった。中国は一党独裁の建前から共産主義は維持しているが、米ソ対立時のようなイデオロギーの対立はない。米中関係は基本的には「経済障壁の撤廃」もあり、相互依存関係にある。北朝鮮が暴走する可能性は日朝協議再開を見ても薄らいでいる。
現在、安保上最大課題である尖閣問題についても、オバマ大統領が4月の訪日で、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用範囲に含まれると明言したことは、中国のあわよくばという期待を減殺させただろう。もちろん偶発的事件の発生乃至意図せぬ拡大を防ぐために万全の措置を講じる必要はある。
このような国際環境下にあって、日本が集団的自衛権の行使容認により一方的に日米同盟の軍事的片務性を双務性に変革することは、我が国に本来不要な負担を負わせるのみか、第一次大戦後、世界で続けられている不戦への流れに逆行するものであろう。(おわり)
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