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2007-01-09 00:00
連載投稿(3)イラクの将来
松元洋
NPO日本救援行動センター(JARC)代表
9・11事件に対するアメリカ人の苛立つた気持ちはわかるとしても、ブッシュ政権が戦後処理のことを充分検討することなくしてサダムを倒したのも失敗であった。そのつけは秋の米議会の中間選挙での大敗となり、米兵の死者は今や3000人、そして出口の見えない内戦の泥沼である。ベトナム戦争で米国は惨憺たる敗北を喫した。イラクもこのままでは不名誉な敗北しかない。両者に共通している失敗の背景は米国が軍事力を過信し、万事自分で都合のよいように片付けようとしたことにある。
それでもともかく抜け道を探ろうとすればブッシュ大統領は、イラク・スタデイ・グループ(ISG)の提案にそって、イラン、シリアとの直接交渉を進め、また治安の改善をイラクの軍と警察にまかせる努力を積み上げながら、国連とも協調し、あらゆる政治解決の措置を講じてみるほかない。例えはボスニアの内戦解決のために1995年にデートン合意がなされたように、イラクの北部をクルド、東南部をシーア派、西部をスンニ派の領域として、暫定的にせよそれぞれの勢力の自主管理にまかせ、三者間の対立抑制のために米軍にかわる国連安全部隊を導入することなどが考えられる。
自爆テロの連続で毎日のように無実の市民が何十人と死傷している状況は異常であり、国際社会はこれを無視することはできない。周辺のアラブ諸国もまた欧州諸国も内紛が何時までもつづき、ますます大量の難民が流出してくることは避けたいところである。そこには国際的なテロ対策上の問題も介在している。
このような悲惨な内戦が生ずるとは、多分だれしも想像しえなかった複雑な状況である。しかし解決の兆しが皆無とも見えない。強硬派のボルトン国連大使とラムスフェルド国防長官の辞任があり、ブッシュ大統領の国連、中東政策にも変化がでようとしている。多分ボスニアやコソボの場合とは石油をめぐる利害や外部からのテロ分子の潜入もあり、状況はことなるかもしれないが、バルカン紛争を終息に導いた国際社会の経験はイラクの内戦解決にも生かされると思う。(おわり)
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