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2013-12-10 00:00
周辺国の利害が優先しているシリア内戦
川上 高司
拓殖大学教授
12月3日、サウジアラビアのバンダル情報相がモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談した。バンダル相は8月にもモスクワを訪問したが、その時はシリア政府への軍事支援を止めるようにプーチン大統領に求めたという。今回の会談の内容は明らかにされていないが、おそくらシリア問題について話し合ったに違いない。サウジアラビアは反政府勢力への支援を継続しており、シリア内戦の行く末に強い影響力を持っている。今のサウジアラビアは、アメリカとは関係がぎくしゃくしており、サウジアラビアの協力を得るべく、プーチン大統領が一役買って出ているのかも知れない。ロシアはサウジアラビアに対して1月22日のシリア和平会議が実現するように協力を求めたのではないだろうか。
ロシアはすでにアサド大統領に和平会議に参加するよう説得している。反体制側はアサド大統領の退陣を条件に出席をすると主張していたが、5日、シリア自由軍は1月22日の会議に無条件で出席することを発表した。今後はアサド政権と協力してアルカイーダ系の過激派組織と闘うという。この方向転換にサウジアラビアが影響力を発揮したことは間違いない。
シリアの内戦は複雑である。主導しているのはシリア自由軍だが、そこへアルカイーダ系の武装組織が参入してきて、様相が一変した。アルカイーダ系組織は、シリア内のクルド人、トルクメン人、アラウイ派、キリスト教徒などの少数派をターゲットにして攻撃をしかけ、勢力拡大を図っている。さらには同じ反政府派内でのグループ対立も激化させ、反政府派は内部抗争に明け暮れるようになっている。
そのため反政府派は、市民の支持を失いつつあり、同時に戦闘員も戦線を離脱する者が増えている。反政府側への軍事支援はサウジアラビアやトルコなどが行っているが、一部のグループにはほとんど行き渡っていない現実がある。一方で政府軍にはヒズボラが戦闘員を送り、イランやロシアが支援する。双方への限りない軍事支援が内戦を長引かせ、激化させているのは事実である。だがどちらも支援を止められないのも現実である。当時者よりも周辺国の利害が優先しているような内戦を終結させるためには、周辺国が協力して和平会議を実現させる必要がある。
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