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2013-08-23 00:00
憲法解釈の拡大について思う
船田 元
元経済企画庁長官
この8月15日で、私たちは68回目の終戦記念日を迎えた。お盆の中日と重なり、日本全国静かな祈りに包まれた。しかし今年は特に、中国・韓国から靖国神社参拝について厳しい目が向けられ、憲法改正や解釈の拡大をめぐって、やや騒がしい環境の中にあった。解釈の拡大とは言うまでもなく、集団的自衛権の行使を、認めるか否かである。自国が直接攻撃されなくとも、同盟国が攻撃されれば、自国が攻撃されたと見なし、反撃できる権利を言う。これまでの憲法解釈では、独立国であるかぎり、どの国もこの権利を持っているが、我が国は必要最小限の武力行使を超えることになり、憲法上許されないとの政府見解が出されている。
しかしこの状態を放置すれば、同盟関係にあるアメリカとの連携がちぐはぐになり、関係が揺らぎかねない。また軍事の常識からかけ離れた行動になりかねず、国際社会から批判を受けかねない。我が国の防衛を万全にするためには、避けて通れないことである。集団的自衛権の行使については、政府におかれた「安保法制懇談会」ですでに検討が開始され、更に安倍総理は内閣法制局長官に、この問題に積極的な小松前駐仏大使を起用して、着々と布石を打ってきている。
ただし、そう簡単には解釈変更は行かないだろう。何故ならば、この数十年かけて内閣法制局長官の答弁、すなわち政府見解が積み上がってきているからだ。「憲法上許されない」から「憲法が容認するところ」と変えていくには、よほどの理論武装、理屈立てが必要となる。加えて今回の解釈変更の課題として、第一次安倍内閣の時の4類型に加えて、広範なケースでも対応できるようにするとか、同盟国をアメリカに限定せずに、シーレーン防衛を意識して、オーストラリア、インド、フィリピンなどに拡大することも、検討対象とするようだ。自らハードルをあげているといっても過言ではない。
もちろん私の立場は、集団的自衛権の行使は、我が国の防衛を確実なものとするため不可欠な要素であると考えており、変更のタイミングとしてはまたとない好機と思う。しかしながら、手続きを急ぎすぎると、思わぬ落とし穴にかかることもある。我々はもう少し慎重に、丁寧に説明を加えながら、手続きを進めていかなければならないと考える。最初は日米同盟の枠内で、4類型をはじめとした「抑制的な集団的自衛権」の行使を目標に、じっくりと議論していくべきではないだろうか。
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