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2006-11-27 00:00
利害得失にもとづく議論を活発に
小笠原高雪
山梨学院大学教授
11月27日付の織田邦男氏の投書の趣旨に賛成である。核武装に関する議論に否定的な人々のなかには、核武装の当否を利害得失から論ずることに対する感情的な嫌悪感や、道徳的見地からの反対論の堅持こそが核武装の回避に最も有効であるとの信念が存在しているのであろう。しかし、感情論や道徳論は、べつの感情論や道徳論に直面したとき、意外な脆さを露呈するであろうし、その安定性や継続性に対する諸外国の疑問を容易に払拭できないであろう。その意味で、核武装に関する議論は、利害得失にもとづき、活発に行なわれるべきである。
その場合、最も避けるべきであるのは、わが国が核不拡散条約を批准していることを理由に、核武装を否定することである。狭い国土、人口や産業の集中などの事情を抱えるわが国は、たとえ単独で核武装しても有効な核抑止力を獲得しえない存在である。わが国は、条約があるから核武装できないのではなく、核武装できない事情があるから条約に加入しているのであり、核不拡散に地道な外交努力を続けているのもそのためである。そうした形で構成されない核武装反対論は、結局のところ「不平等条約」に対する不満や疑問を刺戟するだけであろう。
核武装の当否を利害得失から論ずることは、抑止力に関する考え方を認めることによって初めて可能となるし、日米同盟をはじめとする集団的な防衛努力の意味を現実的に考慮することにもつながる。そうした議論になるのが嫌だから核武装に関する議論を封印するというのであれば、それは「唯一の被爆国」の国民感情を政治的に利用しているだけである、といわれても仕方があるまい。核拡散が次第に現実味を帯びてきているいま、その脅威からわが国を守るために最も有効な方策とはどのようなものか、感情論や道徳論に依存しない現実的な議論が必要である。
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