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2006-11-19 00:00
日本人よ、気宇壮大な夢を持て!
伊藤将憲
会社員
もしも、現代に坂本龍馬が生きていたら、「アジアは一つ」という台詞を口にするのではないだろうか。かつて日本が欧米列強に侵略されつつあるにも拘わらず、国内が尊王攘夷と佐幕開国に分かれて内輪争いをしていた時代に、龍馬は「日本は一つにまとまらなければならない」と言ってのけた。そして維新の志士たちが本当にそれを実現してしまったのである。現代の日本も靖国問題、教科書問題、ネット右翼、嫌韓流などの内輪の論争が喧しいが、「小さいことを言うな、アジアは一つ」と言いたい。少子高齢化、所得格差拡大による下流社会・ワーキングプアの増加を食い止めるためにも、日本国内で威張っているだけの内弁慶では駄目だと思う。
日本人は今まで自分たちがアジア人であることにとてもコンプレックスを持っていた。一昔前まではテレビのバラエティー番組でも、同じアジアの中国人、韓国人、タイ人、インド人等をネタにして、平気でバカにしていた。アパルトヘイト時代の南アフリカ支配層から「名誉白人」と呼ばれてニンマリしていたほど、愚かだった。テリー伊藤氏は、このような日本人を「バナナのようだ」と表現した。皮は黄色なのに、中身が白だと。一昔前までの日本人は「お前は欧米人か?」と言われても仕方のない存在だった。
しかし、日本以外のアジアの国・地域であるNIES、ASEAN、そして中国、インドの発展がアジア人に自信を持たせた。もう、アジア人であることを恥じる時代は終わった。日本を東洋でも西洋でもない「中洋」などと曖昧なことを言わずに、日本人が自分は東洋人、アジア人だと名乗っても十分にプライドを持てる時代になった。こうして自信とプライドを取り戻した我々アジア人の手によって、東アジア共同体結成へ向かう流れがあることは非常に良いことだと思う。
この東アジア共同体に対してユーラシア世界の対極にEUがある。EUによってヨーロッパは一つになりつつある。これはローマ帝国以来の快挙だ。しかし、今はまだだれもその可能性を指摘していないが、将来的にはトルコが加盟すると、EUはいずれ中東や北アフリカをも吸収して、UTC(Union of Three Continents)へと発展する可能性がある。UTCは私の命名だが、トルコがかつてオスマン・トルコ帝国としてアジア、アフリカ、ヨーロッパの三大陸を支配した大帝国だったことを想起する必要がある。すでに14世紀に、イブン=バットゥータは故郷フェス(モロッコ)を出て、エジプトからメッカに巡礼し、さらにイラン、シリア、ルーム(アナトリア)、黒海、キプチャク汗国、中央アジア、インド、スマトラ、ジャワを経て中国に達し、大都を訪問している。1349年に故郷に帰還したのちも、さらにイベリア半島とサハラを旅している。もともと地中海世界は一つの世界であった。
トルコが加盟したあとのEUは、NRE(Neo Roman Empire)ではなく、UTCを志向するだろう。それは、この地域が安全保障上一体の地域であり、地域の最終的安定のために統一が求められているというだけでなく、シルクロード交易以来の経済的相互依存の実態があり、地域の繁栄のためにも統一が求められているからである。東アジア共同体が実現し、UTCが達成されても、それぞれに東アジア地域内、地中海世界内のことだけに関心が向けられてしまうのであれば、物足りない。最終的には東アジア共同体とUTCは、アメリカを中心としたもう一つの地域世界と協力して、世界全体の安定と繁栄のためのイニシアティブを発揮しなければならない。日本人はその主導権を握るべきである。日本人よ、気宇壮大な夢を持て!
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