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2011-06-06 00:00
膨大なアフガン戦費に音を上げる米国民
川上 高司
拓殖大学教授
オサマ・ビン・ラデン殺害後のホワイトハウスや議会では、アフガニスタンからの撤退に向けての圧力が強まりつつある。それは主に戦略的な視点からというよりも、むしろ天文学的予算の観点からの圧力であって、さすがのアメリカも音をあげているというのが現実のようである。
今年度のアフガン戦費はすでに1070億ドル(8兆6,670億円)に達する。このコストは重すぎて背負いきれない。特にバイデン副大統領は「ビン・ラデンの死亡によりアフガンに駐留する意義はないし、コストもかかりすぎるので、撤退するべきだ」との撤退強硬論を展開している。一方で「急激な撤退は残った兵士を危険にさらす」との慎重論もある。
軍の高官の中には「駐留軍の縮小は、ただちにコスト削減につながることはない」という現実的な意見も出ている。兵士が1日駐留する経費は2740ドル(22万円)である。年間で換算すれば、100万ドルが一人の兵士の駐留コストとなる。だがそれ以上にマネーが別の分野で使われている現実がある。アフガニスタンにある米軍基地の施設の充実や拡大が進んでおり、大型輸送機のための第2滑走路の建設や、グリーンあふれる散歩道などの快適性の追求が日々行われている。そこにつぎ込まれるマネーがとまらない限り、撤兵しても、コスト削減にはほど遠いというのである。撤退する予定にもかかわらず、基地の拡大が止まらないため、「本当に撤退するのか」という疑問が沸くのも当然であろう。
この戦費を負担しているのは米国民である。国民の関心は膨大な財政赤字にあり、オバマ大統領も財政赤字の解消の努力を問われはじめている。財政赤字解消の努力や政策が大統領選挙に向けての大きな論点になることは間違いないであろう。「なぜアフガニスタン再建のコストをわれわれが負担しなければならないのか」という根拠が消えた今、なにをもって国民を納得させるのであろうか。オバマの内政手腕が問われる時期になったようである。
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