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2011-04-26 00:00
(連載)原子力は「最終解決」ではなく、「つなぎ」にすぎない(1)
西村 六善
元地球環境問題担当大使
筆者は、4月3日付けの本欄に「原子力は“つなぎ”、自然エネルギーが“主流”」と題して、福島原発事故以後の世界的なエネルギー事情の実態を「エネルギー資源を他国に依存するのは、そもそも危険だ。地球環境を守る為にはエネルギーの脱炭素化が必要だ。再生可能エネルギーを軸とするグリーン投資は、この双方を実現するのみならず、グリーン投資こそが、21世紀の世界成長を起爆し、第二次産業革命の旗手になる」と鳥瞰してみせた。しかし、字数の限られた短文であったため、必ずしも意を尽くしていない。そこで、本日は、改めてその内容を敷衍して、説明により万全を期したい。
香港上海銀行の最近の分析は「グリーン・エネルギー投資は今後10年間で現在の3倍になり、最大の推進者そして受益者となるのは、欧州、中国、米国の順だ」と述べている。原子力は今日全球電力の15%を占めているが、水力と再生可能エネルギーを合体した自然エネルギーは既に20%を占めている。世界中が温暖化防止とエネルギー安保にコミットして膨大な投資をしている事実からして、今世紀の後半には自然エネルギーが世界の電力生産の主流となるだろう。その結果、原子力は限界的な存在となろう。要するに、原子力は推進派の「強い思い」にも拘わらず、「将来性のないつなぎ」でしかないのだ。4月6日、小宮山三菱総研理事長は、日本記者クラブで「原子力は20世紀後半から21世紀前半にかけてのつなぎのエネルギーであり、その後は自然エネルギーが中心になる。今回の福島原発事故は自然エネルギー加速のきっかけになる」と述べている。
人類のエネルギー問題の最終解決は、原子力ではなく、再生可能エネルギーであるといってよいであろう。「つなぎ」であるにも拘らず、原子力は、既に深刻な問題を将来の人類に課している。放射性廃棄物の管理という問題である。この問題はこれから数千年以上、10万年も続くだろう。将来の人類は、自分たちには必要のない原子力エネルギーの後始末を10万年にわたりやっていく必要があることになる。地中深く埋めたガラス固化体は、安全だとされている。しかし、15メートルの津波は想定外であった。どうして10万年間にわたりガラス固化体は「絶対安全だ。想定外のことは起こらない」と断言できるのだろうか?
21世紀の人類が、少しばかり「まとも」ならば、後世に迷惑をかける放射性廃棄物の量は、最小限に押さえて行くべきだ。日本でも全電力の30%近くを賄っている以上、原発は当面は維持しなければならない。安全を徹底して強化し、老朽原発は順次退役させ、天然ガスなどで急場をしのぎつつ、省エネに更なる努力を傾け、再生可能エネルギーの急速で大規模な導入へ舵を切るべきだ。(つづく)
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