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2011-01-01 00:00
破滅か、繁栄か、その選択を問われている人類
小沢 一彦
桜美林大学教授
新年の年頭にあたり、2011年とはどのような年なのか、その意味を考えてみたいと思います。2010年は各種の事件が発生し、東アジア情勢が緊迫しましたが、2012年には世界の主要国での指導部交代が予想されます。その間にあって、2011年は非常に敏感で不安定な年になるでしょう。マクロ的に見ると、覇権サイクル理論でいうところの100年ごとの「覇権国の交代」をめぐる移行期に当たります。グローバリズム経済においては、世界経済主体が多極化、多様化し、世界経済格差の二極化はさらなる拡大をみせるでしょう。ウォラーシュタインの予言する数百年単位でみた場合でも、人類は「アポリア(破滅)」に向かう可能性があります。
また、ハンチントンのいう「東西文明の衝突」も深刻化を増しそうです。最後に触れたいのは、ジュリアン・アサンジュの「ウィキリークス」の登場です。宇宙的な規模の電子ネット監視社会(パノプティコン・ベンサム)の裏をかくような「グレー・ヒーロー」の登場です。これらが交錯しながら、より複雑な世界を形成してゆくはずです。65億人もの人間の産業経済活動が、科学技術の発展と進化により、相互に複雑に結びつきながら、多種多様な均衡を破壊し、地球生態系を脅かしつつあります。「戦争の時代」と言われた20世紀型危機とは一味違う目に見えない不安や脅威を、21世紀型危機は人類社会に与えてくるはずです。
21世紀型社会においても過去の時代におけると同様に、「明暗」「善悪」の二面性が顕著となるでしょう。一方では、G20などにおいて「人間の欲望」というパンドラの箱が解き放たれました。科学技術の発展が新たな物質や薬品の開発、さらにはより便利な情報通信システムや家電製品を生み出す一方で、人間の「脳化社会化」や「アトム化」「部品化」は進行し、「生命とは何か」「人間とは何か」という哲学の根本命題に立ち返らねばならない深刻な諸問題が増加するでしょう。
また、その経済技術の成果は、当然軍事に転用され、無人兵器、アンドロイド、サイボーグ、レーザー兵器、ミサイル、核技術や生物化学兵器などにも応用されるはずです。「矛盾」の格言通り、それはまた対抗兵器や武器輸出を生み出し、新たな宇宙規模の3Dタイプの軍拡につながるでしょう。科学技術や経済的欲望に飲み込まれ、戦争やテロなどの破壊に明け暮れるのか、はたまた人類の叡智の結集により、それらをうまく抑制・制御しながら、人間が主人となり、使いこなしてゆくのか。2011年は、人類が破滅の道を選ぶのか、繁栄の道を選ぶのか、その選択を問われている年になると思われるのです。
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