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2006-07-19 00:00
日本のプレゼンスを過小評価しすぎではないか
柏木 哲也
公務員
7月17日付けの投稿で、安保理における北朝鮮非難決議採択に関し、小林勝氏は「パワーポリティクスの世界は大人(常任理事国)の世界であって、子供(非常任理事国)にできることは限られている」とし、「結局、アメリカが頼りで、アメリカを当てにしての日本の動きであったが、アメリカは、日本を手駒に使って、そのグローバル・ポリティクスの一小局面を戦ったのにすぎない」と述べておられる。小林氏の意見は、一部の新聞や知識人によってある一定の支持を得てしまっている意見であろう。しかし、それらの意見は、一面の現実を捉えているとはいえ日本という国家を矮小化しすぎではないか。
北東アジア外交において、米中二大国のはざまで日本が翻弄されることは確かに多い。しかし、今回の北朝鮮ミサイル発射問題に限れば、日本は相応のプレゼンスを発揮したと言えるはずだ。直接的にミサイルの脅威にさらされたはずの日本、韓国、ロシア、そして中国の4カ国で日本だけが対北朝鮮強硬論を唱え、小林氏の指摘する通りこの問題には関心の薄いアメリカや英仏をはじめとする国際社会をひきつけることに成功した。日本があそこで強硬な態度を示さなければ、中露主導の宥和的結果に落ち着いてしまい、国際社会は北朝鮮にまたもや間違ったメッセージを送ってしまっていたのではないだろうか。
最終的な決議が国連憲章第7章を盛り込まないものであるということが日本のアメリカに対する屈従であるとの見方も当たってはいまい。むしろ、当初プレスリリースだけで済ませようとした中露が国際的な孤立を避けるために日本案に歩み寄った結果であり、アメリカはその仲立ちをしたに過ぎない。さらに、今回の7章を含まない決議を北朝鮮が拒否すれば、国際社会はより厳しい制裁を考慮するはずで、その段階において日本の主張する7章が含まれたとしても、もはや中露も反対に回ることはできまい。また、日本が今回のように明確な態度で行動すれば、それこそ中東で手詰まりのアメリカにとって北朝鮮問題における負担軽減にもつながり、日米の安全保障戦略上良い意味での補完関係となりえよう。
日本がイニシアティブをとったからといって、それが目的ではないのだから取り立てて高く評価する必要はない。事実、依然として北朝鮮問題は解決されずにある。しかし、日本政府が国家の危機に強い態度で臨もうという時、国民がそれをシニカルに批判することこそ残念でならない。
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