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2009-08-25 00:00
(連載)64回目の終戦記念日に思うこと(2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
ソ連では、対独戦勝記念日、対日戦勝記念日として祝賀される栄光の記念日である。米国でも、そうである。大雑把に言うと戦勝国では、戦勝を祝う日であり、戦敗国、特にドイツと日本ではそうでない。私は、「欲しがりません。勝つまでは」で頑張った末に敗戦の憂き目を見た日本人が、戦争体験を敗戦国特有の形で受け止めたのは自然なことであると考えている。
しかし、いつまでも敗戦国的メンタリティで、戦争の問題を考えることが正しいのか。もっと普遍的な見地より考えて見ていいのではないか。敗戦体験をベースにした考え方では、不十分ではないかと考えている。
8月15日の報道の中で、戦争体験と憲法9条の堅持の話を結びつける意見の表明が多く見られた。ソ連は、第2次大戦(ソ連では「大祖国戦争」と言う)で一番大きな被害を受けた。私は、若い頃外交官としてソ連に勤務したことがある。ソ連人がその経験からどういう教訓を引き出したかというと、ソ連人は「平和が一番大切である」と心から考えていたが、そのためには消費生活を犠牲にしてでも「軍事力を建設する必要がある」と考え、軍備増強に励んだ。日本人が憲法9条を金科玉条にして、軍事力を否定したのとは正反対であった。
憲法9条は、日本を軍事的に弱体化しておきたいという国際政治上の要請の産物である。戦争体験と憲法9条は感情的には結びつくが、論理的には必ずしも結びつかない。憲法9条については、国際政治の現実を踏まえて、別途考える必要がある。(おわり)
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