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2009-01-28 00:00
日本外交にとって「スマート・パワー」の意味すること
若林 秀樹
日本国際フォーラム常勤参与
大統領就任式も終わり、オバマ政権が本格的に始動した。1月24日に発表された米ギャラップ社の調査によれば、オバマ大統領の支持率は68%と、意外と低い印象を受けたが、戦後の歴代米大統領の中では、ケネディ氏の72%に次ぐ高さだそうだ。いずれにせよこの高い支持率をどこまで維持し、社会を変革できるのか、すべては政策の中身と実行力にかかっている。
オバマ政権の外交・安全保障政策の考え方の中で、最近よく耳にする言葉は「スマート・パワー」だ。ヒラリー・クリントン氏は、国務長官承認のための公聴会や国務省への初登庁時にも、その言葉を使って外交の基本的な考え方を明確に述べた。「スマート・パワー」とは、一言で言えば「ソフト・パワー」と「ハード・パワー」との統合、組み合わせであり、クリントン国務長官は、「外交、経済、軍事、政治、法制度、文化」など、「その時々の状況に応じて的確なツール」を使うとしている。つまりここで重要なことは、オバマ政権は「ソフト・パワー」を重視しつつも、時と場合によっては、軍事力の行使をも躊躇しない外交を推し進める、という意思表示の表れであることも忘れてはならない。
「スマート」という言葉の響きから、「スマート・パワー」はやや「ソフト」な外交をイメージしがちであるが、ハード(軍事力等)の力を弱めるという意味では全くなく、その強い軍事力を背景に外交力を前面に押し出す戦略である。その「ソフト・パワー」、「スマート・パワー」の概念を外交・安全保障分野の理論として推し進めてきたジョセフ・ナイ教授が駐日大使として起用される可能性が高まった。
オバマ政権が重視する「ソフト・パワー」は、もともと日本が得意とするところである。日本はその主体的な外交の推進と良好な日米関係の維持という観点から、特に地球温暖化など技術力を生かした環境問題への対応、途上国への開発援助、核軍縮・核不拡散等の分野における米国との積極的協力を志向すべきである。一方で、いざという時の「ハード・パワー」も憲法の範囲内でいつでも活用できるよう、自衛隊の迅速な派遣を可能とする「一般法」等の備えもしておく必要があろう。
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