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2009-01-26 00:00
自民党は下野を覚悟すべきだ
杉浦正章
政治評論家
早ければ4月解散、5月選挙の流れの中で、麻生政権は超低空飛行を続けている。総選挙までの間に「奇跡の神風」は、まず吹きそうもない。このままでは自民党が野党に転ずる可能性は大きい。長期与党政権の結果、民意をくみ上げるシステムが疲弊して、使い物にならなくなったことが、最大の原因だ。自民党は1度野党に転落して、臥薪嘗胆して再起を期するしかあるまい。野党に耐える度量を持つことだ。産経新聞によると、地方の公明党の賀詞交換会で、自民党中堅議員が「公明党の皆さんにはご迷惑をかける。次期衆院選挙で自民党は下野してしまうだろうが、それからの巻き返しもある」と挨拶、会場が凍りついたという。元首相・森喜朗も「麻生さんが自民党最後の総裁になるかもしれないが、それはそれでいいじゃないか。野に下り、今度は攻めに入れば」と述べている。
このような「終わりの始まりかも知れない」という空気を、年末年始で地方に帰った自民党議員らが共通して持っているようだ。最後の頼みの綱と期待した首相・麻生太郎の予想を上回る不人気で、自民党支持率はとどまることを知らぬ下げを続けており、福田康夫の首相退陣の意図はもろくもついえ去った。小選挙区比例代表制になって、首相の「顔」つまり人気は、選挙に必要不可欠な要素だが、それに期待が持てなくなった。加えて、長期にわたる自民党政権の疲弊度も相当なものがある。国民の痛みをくみ上げられなくなってきているのだ。世襲議員の多さがなんと言っても最大の原因だろうが、積年の霞が関官僚との癒着体質が、数多くの失政の原因となってしまっているのだ。
年金問題をはじめ、自民党に残った最後の支持層までも失った後期高齢者医療制度、福田康夫が約束した道路財源一般財源化の事実上の放棄など、支持層を離反させる構造的な問題が、ここに来て選挙基盤を直撃する要素としてひしめいているのだ。この政治の側の民心からの離反という構造的な問題を打開するには、一度民主党に政権を委ねて、大なたを振るわせるしかない、という振り子の原理がいままさに働こうとしているのだ。かっては自民党内で振り子の原理が働いて、政権が交代したが、この動きが政党間で発生しようとしているのだ。国民の側にとっては、選択肢は民主党への積極支持という形でなく、自民党の“ていたらく”への反動としての選択になるであろう。
したがって、例え民主党政権が成り立っても、真の政権担当能力があるかどうかは疑わしい。マニフェストをみても、財源なしのばらまき基調は自民党以上だ。消費税という最大の“責務”をあえて避け、防衛・外交も代表・小沢一郎の主張は論理破たんしている。恐らく民主党政権になった場合、各国にテロとの戦いの分担を求める米大統領・バラク・オバマの要求に、民主党内は左派から異論が出て、対応しきれるかどうか疑問だ。代表・小沢一郎や国対委員長・山岡賢次にまとわりつく「種々の疑惑」も、政権を担当すれば白日の下にさらされる。反対政党が米国のように、“けれんみ”がなく政権を継承出来るまでには、まだ日本の政党政治は成熟するに至っていない。
早ければ3カ月の後に解散・総選挙となるのである。もう自民党は、「神風」を期待しても無理だ。この際野に下ることを覚悟して、「次の次の選挙」に期待をつなぐべきだ。パソコン用語で言う「リセット」して、出直す覚悟を持つことだ。自らを「初期化」するのだ。そもそも自民党が主導で小選挙区比例代表制を導入したのだ。中心となった後藤田正晴が「政権交代可能な選挙制度を確立する」と述べた、その制度が機能しようとしているのだ。政権に恋々としようとせず、ここは野に下って、国民の声に耳を傾け、世論の動向を見極める判断力を身につけ、出直す度量を持つべきだ。細川政権は8カ月でついえたが、3年間は臥薪嘗胆覚悟の再起しかあるまい。
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