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2022-10-03 00:00
ロシア、4州併合を宣言、戦闘一層激化へ
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナの東部・南部の4州を一方的にロシア領に併合すると宣言、ウクライナに無条件の停戦を呼びかけた。だが、ウクライナや欧米諸国は「疑問の余地のない国連憲章・国際法違反」と非難して認めず、ロシアとウクライナとの戦闘はさらに激化している。
プーチン大統領はこの日、大統領府のあるクレムリン(城砦)に、ロシアの上下両院議員やウクライナ4州の親露派代表を招き、約40分間演説した。ここは帝政時代、ロシア皇帝の居城があった場所で、国家的行事に使われている。演説の模様は世界中にテレビ放映され、大統領の意気込みを示した。とりわけ、強い意気込みが感じられたのは、演説の中盤で米国が第二次大戦末期、広島と長崎に原爆を投下したことを引き合いに出した時だ。「その目的は一つだけだ。我々(当時のソ連)を脅すためだった」と述べ、当時米国が日本よりもソ連を念頭に置いていたと指摘。今後さらに戦闘が続けば、ロシアが米国に核を投下する場合もあることを示唆した。だが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアに屈する様子はなく、バイデン米大統領も「ロシアによるウクライナ領の一方的な併合は決して認めない」と言明した。
プーチン大統領はウクライナの親露派が多い州を狙い、「住民投票」の結果を理由にロシア領に併合する作戦は2014年、クリミヤ半島でも実行し、成功している。だが、今回の場合、南部2州はロシア人に馴染みが少なく、最近の世論調査でも、この作戦はプーチン大統領の支持率アップにつながっていない。プーチン大統領は、今回の大規模作戦では短期間での決着を狙ったが、ロシア軍のウクライナ侵攻以来、8ヶ月目に入っても十分な効果が上がらず、焦りが感じられる。その結果、核使用のどうかつと「住民投票」を利用したロシア領への併合に踏み切ったが、いずれも効果が不十分で、かえってウクライナの反撃を招いている。
ロシアも10月に入ると、冬将軍が猛威を振るい始め、思い切った作戦を打ちにくくなる。一方、冬の暖房源をロシアの天然ガスに頼る欧米諸国も結束を固め、安易な妥協を拒否している。満を持して始めたロシア軍への予備役投入作戦も国民の反発を招き、徴兵を嫌って20万人以上が国外へ脱出したという。ロシアは冬を目前に、作戦を継続できるかどうかの正念場を迎えている。
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