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2022-08-24 00:00
(連載2)日本政府は中台関係の「平和共存」に尽力せよ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
軍事専門家の中には、中国軍にとっては、台湾はロシアと地続きのウクライナとは異なり、両岸百数十キロの台湾海峡という天然の障碍があるから、中国軍による台湾上陸作戦は容易ではないとの見方がある。しかし、台湾はウクライナに比べると面積が極めて狭く、人口も密集し、四方を海に囲まれ逃げ場がなく、中国軍による海から空から陸からの大量のミサイル攻撃や航空機による爆撃などには脆弱性がある。したがって、これらによる同時短期全面攻撃後の上陸作戦は必ずしも困難とは言えないであろう。
以上の通り、もし「台湾有事」になれば、明らかに戦力的には中国軍が有利である。台湾としては、中国軍と互角に戦うためには米国や日本による軍事介入が不可欠であろう。ウクライナ侵攻を見ても武器援助のみでは反撃は十分とは言えないからである。しかし、米国および日本による「台湾有事」への軍事介入は中国との戦争をもたらす危険性が高い。まさに「台湾有事」は「日本有事」になりかねない。したがって、日本としては台湾の防衛のために米軍と協力して安保法制の「重要影響事態」または「存立危機事態」として自衛隊が出動すること、すなわち、日本が他国間の戦争に巻き込まれることを、果たして日本国民の多数が容認できるのかどうか、まさに、日本国民の覚悟が問われるのである。
このように考えると、日本にとっては、中台関係は「平和共存」が最も望ましいことが明らかである。よって、日本政府としてはそのためのあらゆる方策をとるべきである。第一は、日本としての対米・対中・対台湾への「台湾有事」を抑止する平和外交努力である。第二は、日本としての米国・台湾と連携した中国による「台湾侵攻」を抑止するに十分な「抑止力」の強化である。日本としては、とりわけ、「反撃能力」としての北京に届く長射程極超音速弾道・巡航ミサイルの開発・配備が選択肢となろう。これは中国に対する日本・米国・台湾三か国の連携した抑止力の強化をもたらすからである。もとより、平時における台湾自身の自主防衛力の強化と、そのための米国による「台湾関係法」に基づく武器供与が必要であろう。
この連携した三か国において、米国の「核抑止力」を含め、中国を凌駕する強力な抑止力を構築すれば、中国の軍事力による「台湾侵攻」は不可能になり、中国が好むと好まざるとにかかわらず、中台関係は「平和共存」の関係が持続可能になるであろう。なぜなら、今回のロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナの核を含む対ロシア抑止力が不十分であったために起ったことが明白だからである(2022年3月18日「百花斉放」掲載拙稿「ウクライナ侵略の教訓・抑止力なき国は侵略される」参照)。日本政府としては、外交及び安全保障政策を含め、中台関係の「平和共存」関係の構築に尽力すべきである。(おわり)
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