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2020-12-05 00:00
プーチン、米政権移行に冷ややか「関係すでに台無し」
飯島 一孝
ジャーナリスト
米大統領選の選挙結果が出そろい、各国がバイデン新大統領への祝意を表明後も沈黙を守っていたプーチン露大統領が11月22日、ようやく重い口を開いた。「露米関係はすでに悪いのだから、公式な祝意の表明が遅れても、さらに悪化することはない」と言い切った。その後で、正式に選出されればどの大統領とも働く用意があるとも述べているが、今後の米露関係はいったいどうなるのだろうか。
プーチン大統領は22日夜、ロシア国営テレビの「モスクワ・クレムリン・プーチン」と銘打った番組に出演、インタビューに応じた。タス通信によると、プーチン大統領は米露関係について「すでに台無しになっているので、さらに台無しにすることはできない」と述べる一方、「われわれはトランプ大統領ともバイデン候補とも尊敬し合う関係を持っているので、特に問題はない」とも語った。さらに大統領は「ロシアの指導層は、選ばれたどの大統領とも一緒に働く用意があるが、今は投票集計と米国内での政治紛争が完了するまで待つことが重要だ」と述べた。続けて司会者から、投票集計終了後、新大統領に祝意を表明する予定があるかどうか聞かれると、「新大統領の勝利が確認されれば、政治的伝統に則って行う」と、過去の前例に沿って祝意を表明する考えを示した。
プーチン大統領は、こうしたやり取りの前に、米国の選挙制度に言及し、「米国の制度にはいくつかの問題がある」と指摘。州の得票数が多い候補がその州の選挙人を総取りするシステムをやり玉にあげた。ただ、それ以上は米国の制度に踏み込まず、「古い体制を変えるかどうかはワシントンの問題だ」と述べるにとどめた。
ロシア国内では、人権問題を重視する民主党のバイデン前副大統領が新大統領に就任することに、早くも警戒感が高まっている。上院の論客、コサチョフ国際問題委員長は「リベラルの世界が活気付き、欧州では反露感情が高まり、政治的な理由での制裁が増える」と予想している。プーチン大統領にとって、バイデン氏がやりにくい相手には違いない。そうした民主党の政策にプーチン政権はどう対応するのか。今後ますます、米露双方の動向に目が話せない状況が続きそうだ。
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