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2008-12-26 08:07

渡辺喜美に振り回される自民党公家集団

杉浦 正章  政治評論家
 渡辺喜美とのけんかの仕方を知っているのは、自民党内で選対委員長・古賀誠くらいか。古賀が渡辺の衆院解散要求決議案賛成を「首相不信任支持と同じ」と述べたときは、いよいよ渡辺を切るのかと思ったが、何のことはない執行部の出した方針は、戒告処分だ。党執行部は幹事長・細田博之が象徴するようにインテリ臭が濃厚で、修羅場への対応を知らない。たった一人の野武士の前に右往左往する公家集団だ。この場面は「先制攻撃」がキーワードなのだ。渡辺の言動が、従来の反主流議員のそれと違うのは、党内で発言せずに、もっぱらテレビ・メディアを通じて意見を表明している点だ。

 そして本会議場で、大向こう受けを狙うパホーマンスに出る。自民党の逆境をフルに活用して、自分の選挙運動を展開している形だ。まさに確信犯的な行動であろう。問題の核心は、渡辺が自民党所属議員でなければ、マスコミは全く騒がないということだ。渡辺とは好対照に、大多数の自民党議員は窮境にいながら何とか党勢を回復しようとしており、いわば我慢派であろう。熱い風呂からすぐに飛び出すのが渡辺、我慢して入っているのが一般議員だ。問題は、渡辺が熱い湯を引っかき回して、これらの議員を外に連れ出そうとしていることだろう。

 党執行部は、これまでののところ、この渡辺の戦術になすすべを知らない。野武士を前にした公家集団である。渡辺イズムがほかの議員に波及せぬよう、派閥を通じた締め付けを行うのが精一杯なのが実情だ。しかし、渡辺はNHKのインタビューで、自民党が最終決戦の最大テーマとしている2次補正に反対する意向を示唆しており、同志を募ろうとしているのだ。はっきり反党行為を表明しながらの言動である。跳ね上がりも事と次第によりけりであろう。「本人が離党を考えるべきだ」(選対副委員長・菅義偉)などと、のんびりしたことを言っている場合ではあるまい。

 渡辺が、2次補正の審議で、定額給付金の分離を求めて、衆院再可決に必要な3分の2の維持を不可能にする17人の同志を集めようとしている、ことは確実であろう。執行部の意図するように、渡辺1人に孤立化出来れば問題ないが、獅子身中の虫の増殖を放置できる状況ではあるまい。したがって、このけんかは先制攻撃で対処すべき場面だろう。幹事長が渡辺を呼び、党の方針に従うかどうかを質し、「反対投票する」と答えれば、その場で除名するしかあるまい。本会議場でどう出るか、はらはらしてみているような公家集団では、執行部は未曾有の難局を乗り切れまい。除名して、言葉だけでなく“刺客”を選挙区に向ける。これが本筋の対応だ。示しをつけるのだ。どっちみち除名をするなら、本会議での行動を待たずに、先手を打つことだ。
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