国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-09-13 05:27

国家公務員キャリア制度の廃止は論外

宮脇磊介  初代内閣広報官・宮脇磊介事務所代表
 このところ官僚の地位低下が言われる。その原因は官僚自身の腐敗堕落による。官僚腐敗の根源はただ1つ。志を失ったことに尽きる。志とは、国家国民のために尽くすという意思と誇りである。公(おおやけ)のために、などという曖昧な概念で説明されるべきものではない。天皇の官吏から国民の公僕へと主は変っても、国家・国民に奉仕する役割りは不変である。そうした志を失ったのである。その結果、国益よりも省益・局益をあからさまに優先させて恥としないようになった。また、大蔵官僚はじめ利権官僚の驕りが倫理感覚を失わせた。ノーパン・シャブシャブなど豪華な饗応に耽ったり、居酒屋タクシーからビールや現金までを受け入れるみじめな人間になり下がった。

 明らかに饗応買収の汚職事件である。公務員倫理を規制する法律まで制定されても、なおとめどもなく職を穢す状況が続いている。官僚道はどこに行ったのであろうか。かつて武家社会にあって、死をもって罪を贖(あがなう)場合、一般に町人は斬首、磔(はりつけ)であったが、武士は自ら責任をとる資格がありとされ、切腹が許された。しかし、武士であっても、経済的な利害絡みの場合は切腹は許されず、斬首とされた。さしずめ、今日の各省腐敗堕落官僚、利権癒着官僚は、斬首の途へまっしぐらに行ってもらわねばなるまい。

 恐ろしいことは、現在進行中の公務員制度改革にたずさわる政治家や有識者がこの理(ことわり)を理解できないでいることだ。なぜ分からないのか。それは、改革を進めるべき関係者自身が志を持っていないからにほかならない。このことは、志そのものを論議する意思と能力を欠いた有識者会議「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」での審議経過と決定した内容から明瞭である。

 この有識者会議で結論づけられ、国会で可決された国家公務員制度改革基本法の骨子に、キャリア制度の廃止がある。論外である。いまの日本は、人物評価能力欠落社会である。人間の人格、ひととなりを正しく評価しようとしない。評価できない。自分のアタマで物事を考えることができない。横目、横並びの人脈依存・無能人間が、銀行の頭取や大企業の社長になったり、テレビによく出てくる人が偉い人だと思ったりしている。意思の強さや努力の尊さを無視する格差論がはびこっている。知能レベルが顕著に低下して、分別が育っていないし、尊ばれてもいないからだ。他人の能力を評価する能力を欠く現下の日本社会で、能力主義人事が成立つわけはないのである。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム