国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-06-19 21:37

責任政党としての資格を欠く民主党

愛知和男  衆議院議員
 民主党は参議院に後期高齢者医療制度を廃止する法案を提出した。不見識も甚だしいと言わざるを得ない。民主党はあくまでも政局優先、パフォーマンス優先の政党であることを改めて証明したことになった。なぜならば、民主党は、この法案は参議院では可決されるだろうが、衆議院では可決される可能性はない、即ちこの法律は成立する可能性がないから国会に提出した、という責任政党としてあるまじき行動をとったからである。

 そもそも後期高齢者医療制度が導入されるに至った経緯のなかで、最も大きな推進力になったのは、被用者保険組合からの要請だった。従来の老人保健制度に支援金として多額の資金を提供していた被用者組合から、いつまで、どれだけの支援を続けなければならないのかという強い不安が表明されて、その不安を解消することが大きな理由で出来た制度である。廃止されたら一番困るのは、被用者保険組合なのである。だから、民主党の最大の支持母体である「連合」は廃止に賛成するはずがない。成立するはずがないので、政治的パフォーマンスとしてこの法案を提出させてほしい、と「連合」に頼みこんで今回の法案提出になったことは明々白々である。こういった行為は、民主党に責任政党としての資格がないことを白日のもとに晒したと思う。

 国民皆保険というのはすばらしいことではあるが、この制度は国民に責任も求めている。即ち、日頃から健康に留意して、出来るだけ病気にならないように気を付ける義務である。国民皆保険であるから、例えば暴飲暴食を重ねてその結果病気になれば、保険制度のお世話になる、つまり国に負担をかけるということになる。簡単に許されてはならないことであると言えよう。病気にならないように務めることは、日本国民としての義務のひとつであることを、学校教育で叩き込む必要があるのではないか。このことは若者についてだけ言えることではない。高齢者にも同様なことがいえるはずである。転んで骨折などをしないように気をつけるとか、高齢者もすべきことは多いはずである。

 保険制度は、基本的には、いくら個人が努力をしても病気に罹ってしまった人、あるいは高齢のための老化現象の故に医療を受けることになった人、先天的な難病の類などに罹っている人、などの人々のためにある制度だ、と言って過言ではない。高齢者医療保険制度に関する議論が喧しい昨今、表面的な議論に終始するのではなく、医療保険制度の基本に立ち返って、制度の充実を目指すべきではなかろうか。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム