国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-06-18 10:01

(連載)内外情勢多端の折、与野党間の実質的協議を求める(2)

角田勝彦  団体役員・元大使
 問責決議案が審議拒否の影響が少ない会期末に出されたことや、その前に国民生活に密接にかかわる与野党合意の法案13本が駆け込みで処理され、また今後諸条約の自然成立が見込まれることは、与野党間の協調が進展していることを示すものではある。政府が今国会に提出した80法案のうち、結局63法案が成立する(成立率は78.8%)。しかし、審議拒否が始まった以上、今後、政局への思惑がからむ混迷は免れまい。次の臨時国会では与野党対立の構図が鮮明化するおそれが強い。

 野党も打撃を受けている。共同通信社が12、13両日、参院での首相問責決議可決を受けて実施した緊急電話世論調査で、福田内閣の支持率は25.0%と、5月の前回調査から5.2ポイント上昇した。政党別支持率も自民党が4.8ポイント増の29.1%、民主党は6.7ポイント減の23.6%と、1カ月ぶりに逆転した。

 このような現状において、国民生活に重大な影響を及ぼす案件については、マスコミ向けを狙った派手な国会での論戦でなく、地道な与野党間の協議により、妥協を見いだす方法は考えられないだろうか。具体的には、社会保障とその財源の問題である。後期高齢者医療制度もその一環である。カネがなければ、いかに出したくとも出せないのは当然である。借金財政が限度に来ているのも常識だろう。税収増、とくに消費税率引き上げには反対が多い。政府の経済財政諮問会議は、10日、2007年度からの5年間で財政支出の計1.1兆円(年2200億円)の圧縮を明記した「骨太の方針2006」を堅持する旨合意した。

 しかし、今月末の閣議決定を目指して策定作業を進めている「骨太の方針08」については、与党内にも緩和を求める意見が強い。政府の社会保障国民会議は、12日、給付抑制路線の修正と負担増を含む必要な財源確保を求める中間報告骨子を公表した。これこそ、与野党が、数字を踏まえ具体的に協議すべき点である。選挙マニフェストに、各党が勝手な甘い話を書く前に、異なった立場からの議論により問題の所在を煮詰める作業を行えば、将来、政権交代があっても、国民の福祉への影響は少なくなるであろう。国民の代表の良識に期待する。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム