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2008-06-16 14:44

国会は災害緊急時の審議をやめよ

玉木亨  大学教授
 岩手・宮城内陸地震に関して、国会は近く委員会を開いて担当大臣から被害状況等を聴く等の審議を行うと報道されている。この重大な災害に対して関係機関がそれぞれの役割に従って最大限の取組みを行うべきことは当然なことである。しかし、今はまだ災害が現在進行形で続いているのであり、土砂に埋もれた人、河に流された人などの行方不明者もあれば、体は無事でも避難所に避難している多数の被災者もいる。

 このような状況にあっては、防災関係当局はその対応に全力を挙げなければならず、それにより被災住民の命を救い、財産を守り、少しでも被害を少なく食い止めるのが、現時点での最大の仕事である。しかし、国会審議を行えば、大臣、副大臣、政務官等が答弁に行くだけでなく、多数の役人がその準備や対応に膨大な時間を取られる、ことになるのは明らかである。

 これらの大臣以下の関係行政庁の職員は、当然のことながら災害の対応、住民の救済・支援のために忙殺されているのであり、国会が1日審議を行えば、その1日分仕事ができなくなるのである。公務員の数は余ってはおらず、対策の企画調整に当たる職員が、同時に答弁の準備をするのであるから、その業務の遅延など業務への悪影響は確実である。

 国会、特に野党は、「国会も災害対策の仕事をしている」というフリをするために、現実の被災者の救援を遅らせるような愚行をすべきではない。災害継続中のその災害についての審議は、単に住民を苦しめ、救えるものを救えなくするだけである。緊急時の直接の対応をする責任は、国会には一切ない。むしろ緊急時には邪魔をしないことこそが、国会の務めである。
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