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2008-04-23 10:27

(連載)舌禍にもかかわらずオバマ人気揺るがず(2)

梨絵サンストロム  ジャーナリスト
 4月16日、ABC主催のヒラリーとオバマの討論会で、アンカーのチャールズ・ギブソンとジョージ・ステファノポラスが早速オバマ発言を取り上げ、オバマに質問を投げかけた。いままでヒラリーに不公平だったメディアから初めて難問を突きつけられたオバマは、予期せぬ攻撃に不意をつかれ、しどろもどろの言い訳をした。アンカーたちは、それでは済まさず、彼の崇拝するライト牧師のとの関係を次々に詰問したが、最後にオバマのとどめを刺したのは、彼と彼の知人ビリー・アイアースとの経緯であった。ビリー・アイアースは、1960年代にペンタゴンやキャピトル・ヒルに合計25もの爆弾を仕掛けた、アメリカ産のテロリスト「ウエザー・アンダーグラウンド」のメンバーであった。

 「こんな不遜なテロリストと大抵のアメリカ人は口も聞かない。何故あなたは交際を続けているのか」と予期せずに質問されたオバマは、「でも、彼はいま大学の英語の教授だ。私は近所に住んでいるだけだ」と信じられないほど下手な言い訳でごまかした。ヒラリーは、ここぞとばかりに「たいした付き合いはないどころか、あなたはアイアースと一緒にある団体の役員を数年間一緒に務めていたではないか」と暴露した。メディアが自分に背く筈はない、とうぬぼれていたオバマの「黄金の舌」は、「鉛の舌」に変じ、惨憺たる失態を演じてしまった。トーマス・ソウエルが言ったように、「若さのもうひとつの名は未熟」である。
 
 1か月前のヒラリーは、ペンシルバニアの予備選を2桁でオバマをリードしていた。4月20日現在、ヒラリー48%、オバマ45%の接戦である。ビターゲートがなかったら、オバマはヒラリーを追い越していたかもしれない。世論調査の結果は、ペンシルバニア戦でヒラリーはかろうじて勝つに違いないという。「ビターゲートは崖っぷちのヒラリーへ投げた命綱」と一時彼女の陣営は勇み立ったが、オバマ・マニアの人気は揺るがず、大勝を必要としているヒラリーにとっては、メディアの大騒ぎの結果もいささか遅きに失した感がある。しかし予備選で大した影響はなくても、11月の大統領選挙では、ビターゲートとオバマの良識と判断力の欠落は、政治的揮発油になって必ず爆発するだろう。いま、どのような事実が暴露されても、若者たちにとってオバマは、クールで天才的指導者であり、狂信的オバマ人気はいささかも衰えていない。(おわり)
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