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2026-04-24 12:16

安保、情報戦略の大転換ー武器輸出三原則と国家情報局ー

鍋嶋 敬三 評論家
 政府は4月21日、防衛装備品移転三原則と運用指針を改正し、殺傷能力のある武器を原則、海外に輸出できるようにした。完成品の輸出を非戦闘目的に限定した「5類型」を撤廃した安全保障政策の大きな転換である。同23日には国家情報会議設置法案が与党に加え野党の多くの賛成を得て衆院本会議で可決、参院でも可決成立する見通しだ。法案は内閣調査室を格上げ、各省庁の情報を一元化して政府のインテリジェンス機能の司令塔とする。二つの施策は外交、安全保障のほか防衛産業の強化や、国内外の重要情報、治安情勢の掌握に大きな効果が期待される。高市早苗政権発足後半年の節目に実現した。このようなスピード感を持って重要施策の推進を見たのは2月8日の衆院総選挙で自民党が圧勝、安保政策に後ろ向きの公明党との連立を解消して日本維新の会と新たな連立を組んだ結果である。

 武器輸出を原則可能にする「三原則」について政府は「望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策的手段」と位置づけている。これまでは運用指針で装備品の移転は非戦闘目的の救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定されてきた。武器輸出に慎重な公明党が5類型の導入と維持を強く主張してきたためだ。今回の「見直し」の意義について政府は①装備移転による同盟国・同志国の抑止力・対処力の強化、②有事に必要な継戦能力を支える国内生産能力の確保ーを挙げている。この背景には一国では戦えない現代の複雑な戦争の特徴がある。4年以上のロシアのウクライナ侵略戦争に見られるようにロシアも単独では戦え続けられず、北朝鮮による兵器や部隊の支援、さらに背後で中国がバックアップしている事情が長引く戦争を支えている。ウクライナも米欧の軍事・情報支援がなければ優勢なロシア軍に抗戦を継続できない。

 アジア・太平洋地域では中国による領海侵犯、強圧的な敵対行動が絶えないフィリピン、ベトナム、インドネシアなどが中国の軍事力に圧倒されている。中国が触手を伸ばす太平洋諸島においても同志国・オーストラリアが警戒を強めている。最近の兵器開発は技術、資金、販路などで一国では制約が大きい。日英尹三カ国が次期戦闘機の共同開発に乗り出している理由だ。ドイツなど欧州諸国も参加に関心を示している。日本は豪州と能力向上型の最新鋭「もがみ」型護衛艦の日本からの輸出と共同開発で合意している。兵器の共同開発によって国内の防衛産業の基盤強化と民生技術への波及効果は計り知れない。ウクライナ戦争で明白になった無人機(ドローン)開発のように軍事と民間の境界線は技術においてはない。軍民両用技術の必要性が強調される。防衛産業の底上げを国家が支えることが民間産業の先端技術の発展にプラスになる。

 内閣にインテリジェンス(情報)の収集、分析の中枢機関とする「国家情報局」を設置する法案では首相をトップとする国家情報会議を創設。官房長官や外相、防衛相、国家公安委員長ら9閣僚で構成、事務局に当たる国家情報局は現在の内閣調査室(内調)を格上げし重要情報活動、影響工作を含む外国の情報活動への対処や分析、評価に当たる。これまでの各省庁の情報活動は「たこ壺」型で情報交換に積極的でなかった。木原稔官房長官は衆院内閣委員会の審議で「昨今の国際環境は厳しいだけでなく展開が早い。インテリジェンスの司令塔機能の強化が必要」と述べた。国家情報局は国家安全保障局と同様の内閣直属の機関として各省庁は「情報提供など必要な協力を行わなければならない」と定められ、総合調整する権限を持ち迅速で高度な情報判断ができる制度的基盤は整う。これを生かせるか、内閣の責任はさらに重くなる。
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