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2026-03-31 14:31

中国政治文化圏との相互理解のために

末永 茂 国際貿易投資研究所客員研究員
 国際政治は相互理解のために相手国の教義や政治思想、歴史を踏まえておくことが欠かせない。もちろん、それは彼ら固有の論理を無批判に理解することではない。むしろ逆で、批判的検討の上で共存共栄の政治方針を模索する必要がある。その上で国民的理解を引き出すとか、相互理解ということになる。アプリオリに「西欧的価値観」や「自由と民主主義」、そして「地域紛争のない世界平和を!」といっても、彼らからすれば何を勝手なことをホザいているのか、としかならない。30年戦争後のウェストファリア条約やグロチウス『戦争と平和の法』、そしてカントの『永久平和のために』を振りかざしても、位相が異なると一蹴されてしまう。

 中国共産党党員は1億人以上で全国民の7%を越えている。エリート党員は中国社会を支える骨格をなすものであり、彼らを差し置いて中国政治経済社会を読むことは出来ない。従って、彼らの教義をなすマルクス・レーニン主義=毛沢東思想とその基本文献等に、それなりに精通していなければ話し合いの糸口さえつかめない。中国ではこれらの文献を『聖書』の如く一字一句動かせないものとして、教条的に解釈するのが正しい読み方だと教授されている。古典的学説を政治スローガンとして引き延ばす必要があるから、そうした乱暴な「学問」が成立する。唯物史観や中国史に纏わる歴史教義や、古代から連綿と継承されてきた四書五経の古典的教義の解釈も類似した傾向を持っている。幸い我が国はその分野における膨大な研究があり、中国本国を凌駕する実績を沢山残している。だが最近の大学講座はこれらを古い学問だとして、また実用性の乏しいものとして閉講しているが、「産湯と共に赤子まで」ということではないか。

 中国では宗教的教義の様に受容されているこれらの社会思想を、「絶対的」科学的学説として理解している。そのため欧米で形成されてきた近代法や国際法体系、国連の基本法をもって中国に対峙しても、それは単純に受け入れられない。むしろ、我々が欧米理念を伝家の宝刀の様に対峙すればするほど対立要因に発展しかねない。特に社会主義国を名乗る政府の場合「プロレタリア独裁」「文官と武官の関連」の妥当性に関わる議論は、国家存亡に関わる重要事項である。これらは古代から継承されてきた易姓革命の継承という形で深く根付いている。民主集中制なる制度を掲げている政権については、政治スローガンや公式声明、綱領改定等々に関わる用語変更を単に形式論理学的に読み込んでも、政権の構造までは分析困難である。政治分析の他にジャーナリズムの社会情報も欠かせないが、これもクローズ・アップの傾向が強い。従って、より客観的な経済構造の統計的分析が益々重要になる。
 
 そして、人類のグローバルな展開は究極において地球規模の単一社会・政府を求めることになるだろうが、そこに至る過程がシンプルな政治原理では通用しないところに問題がある。欧米の優位一辺倒ではない多元的政治原理がどのようなものであるのか。これに一定の道筋を与えて初めて、世界政府の構築作業が開始される。具体的には核兵器・核燃料処理や資源管理、宇宙開発、人口政策、そして何より軍事部門の国際管理システム構築が優先事項である。
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