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2025-10-06 17:50

(連載1)自由民主党新総裁に高市早苗議員が当選した

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 2025年10月4日に投開票が実施された自由民主党総裁選挙において、高市早苗議員が当選した。女性初の自民党総裁となり、総理大臣となる。高市政権は、麻生太郎傀儡政権であり、旧安倍派復権政権だ。とても「解党的な出直し」のための政権とは言えず、究極の先祖返りということになる。高市氏の極右的な思想を考えると、先祖返りも汚れまくった旧来の自民党政治に戻るのを通り越して、1930年代の対中侵略を行った戦前の軍部が幅を利かせた時代にまで戻る可能性が高い。女性初の総理大臣は慶賀すべきことであるが、思想的には全くもって支持できない、極右政権、対米絶対隷属政権となるだろう。

 故安倍晋三政権下で行われた政策や、発生したスキャンダル、国会軽視、野党軽視、傲慢さ、極右や統一教会との深い関係といったことがこれから再び出現してくるかと思うと、気が重くなる。しかし、選挙結果を見ると、1回目の投票では、党員票・党友票では高市議員がトップの119票(全体の約40.3%)、小泉進次郎議員と林芳正官房長官が合わせて147票(約49.5%)となり、議員票では、高市氏は3位で34票(約21.7%)で、トップの小泉氏の80票(約21.7%)、2位の林氏の72票(24.4%)の後塵を拝した。高市氏の党内基盤は盤石ではない。麻生太郎元首相が率いる麻生派が唯一残った派閥として、決選投票で、「党員票が多かった人物に入れろ」という指令が飛び、元々支援していた高市氏を当選させる動きに出たために勝利したが、麻生派に対する批判や非難はこれから大きくなっていくだろう。
 
 旧安倍派4人衆の復権も進められるだろうが、これについても国民全体で批判を強めていかねばならない。統一教会との関係が深く、日本政治を大いにゆがめてきた勢力の復権に私たちは厳しい目を注がねばならない。苗字と閨閥だけで生きてきて、86歳になってもなお、私怨にまみれ、私欲のために政界にとどまり、日本の失われた30年において中心的な存在として、日本を衰退、滅亡へと進めた張本人としての責任感も罪悪感も持たない、およそ民主政治体制下での政治家とは思えない三流政治家である麻生氏を復権させるような結果になったことはただただ残念だ。
 
 選挙の結果を見ると、今回の総制裁選挙には5名が立候補し、高市議員と小泉進次郎議員の一騎打ちかと思っていたところに、林芳正官房長官が追い上げる展開となり、小林鷹之議員と茂木敏光議員は独自の戦いを強いられるという構図になった。茂木氏は田中派からの流れをくむ茂木派を率いる派閥の両州であったが、大惨敗ということになり、これで党内での力を失うことになるだろう。もっとも麻生氏に腰ぎんちゃくみたいにして従っていれば名誉職は与えられるだろう。(つづく)
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