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2007-11-06 08:50

憂国の情が何故悪い

杉浦正章  政治評論家
 いやはや、福田康夫首相の5日の言葉はおとぼけもよいところである。「今までの話は一応終わったのではないか」である。民主党と野党ににくさびを打ち込み、小沢一郎代表辞意表明という大騒動を巻き起こし、民主党全体が小沢氏という野武士のもとで、右往左往する公家集団のような様相を露呈させた張本人が、大連立のひとまず終結宣言である。この欄で会談直後に7対3で福田首相の勝ちと書いたが、これでは武田信玄の言う十分の勝ちとなりかねない。信玄は「およそ軍勝五分をもって上となし、七分をもって中となし、十分をもって下と為す。」とし、「十分は驕を生じるが故、下と為す」と遺している。たしかにこれでは勝ちすぎだ。

 民主党はくしゃくしゃになり、世論のごうごうたる批判に直面している。調整役の渡邉恒雄氏まで批判されはじめており、朝日新聞は天声人語で「憂国の士を気取る仲介者が暗躍する。そんな政治はとうに卒業したのではなかったか」と批判している。

 この天声人語子は昔から、政治の離合集散には言論人の調整があったことをご存じないらしい。自由党と民主党の保守合同に先だって昭和30年5月15日、日本民主党の三木武吉総務会長と自由党の大野伴睦総務会長とが密かに会談しているが、この会談を陰でとりもったのが毎日新聞記者、西山柳造氏だ。二人の会談が実現したことで、懸案だった保守合同はとんとん拍子で進み、この年の暮れに自由民主党が誕生する。まさに日本の政治の原点を作ったのが言論人だ。

 言論人の中には、政治家が日々の雑事に引き回されてとかく本筋を見逃しがちなのに対し、大局が分かる人物がいる。事態を客観視できるからだ。渡邉氏の場合の大局の読みは実に清々しい。無私であるうえに、国家・国民最優先の姿勢だ。政治は時に大なたを振るわなければ動かない時がある。衆参のねじれで国政・外交が停滞してはならない、という渡邉氏の主張は正しい。自らの置かれた立場が分からない政界に一石を投じて見事である。
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