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2007-11-05 08:17

やはり渡邉恒雄氏が調整かー大連立

杉浦正章  政治評論家
 大連立を小沢一郎民主党代表が提案したか福田康夫首相が提案したか、小沢氏が二大政党論から何故大連立論に大転換したか。「小沢一郎副総理」の話はあったのか。いずれも最大の疑問点だ。しかし、あふれる情報の山から、これはという糸を選択、紡いでいくと、連立の動きの背景にはやはり読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆渡邉恒雄氏の影響力が強く感じられる。それによってなぜか疑問が解ける。大連立の動きと渡邉氏の所信は、部分的にも大局観においても符合するのである。

 渡邉氏は4日放送のTBSの時事放談で、今回の大連立劇に関連して「ボクのやったことは、社説に大連立を書いただけ」と関与を否定している。しかし30分にわたる大連立論の中では、関与していなければ言えないような発言が随所にみられた。まず、読売新聞が5日朝刊で「小沢一郎副総理が一度は合意」と報道しているが、4日の放送より以前に録画された番組で渡邉氏は「総理大臣は自民党が多数である間は自民党から出して、小沢君が無任所相でもいいから副總理で入る。主要閣僚を民主党に渡してもよい」などと述べている。読売の記事にも「無任所相」とあり、偶然の一致ではまずあり得ないことだ。これは、渡邉氏が首相と小沢氏の双方に影響がなければ生じてこない話であろう。

 状況証拠的にはこれで十分だが、渡邉氏は、何故連立が必要かの根拠となる総選挙の見通しについても「自民党は民主党が言っているように逆転するほど減らない。100なんか減らない。40か50くらいしか減らない。政権をひっくり返すことは出来ない。半身不随のままだ」とねじれの継続を述べている。これに符合する小沢氏の発言がある。小沢氏は辞意表明の記者会見で「民主党は未だ力量が不足しており、国民から政権担当能力があるのかという疑問が提起されており。総選挙も勝利は厳しい情勢にあると考えている」と発言した。二大政党による政権交代論に凝り固まっていた小沢氏が、総選挙見通しを急に弱気なものに転じたのは、渡邉氏の影響であるとしか思えない。加えて民主党の置かれた現状を厳しく認識して、場合にによってはねじれたままの状態が続き、これが国家・国民のためにならないという大局的認識でも符合している。渡邉氏は調整役として小沢氏と接触するだけでなく、当然、福田首相とも接触しているに違いない。でなければ具体的人事まで語れるはずはない。従って連立を小沢氏が提案したか首相が提案したかの論議は無意味である。田中角栄がこういうときに言う口癖は「鐘が鳴ったか撞木が鳴ったか」。政治的にはどうでもよいことである。

 この渡邉大連立構想は、国家・国民を思う大局観に根ざしており、いったんは挫折したが、今後折に触れて再浮上してくることは間違いない。それが大連立であろうと政界再編であろうと、その口火を切ったことだけは確かだ。
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