国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2007-11-03 08:06

民主党へのくさびとなった党首会談

杉浦正章  政治評論家
 第一幕の判定結果は、7対3で福田康夫首相の勝ちだ。小沢一郎民主党代表の負った傷は大きいものがある。福田首相は、インテリのような顔をして、なかなか寝技もできる政治家であることが分かった。近視眼的には不調に終わった党首会談だが、中長期的に見れば今後の大連立、政界再編、場合によっては話し合い解散へとつながる可能性を残した会談になった、ことは間違いない。最大の見所は、小沢代表が福田首相への拒絶回答で「誠意ある対応を頂いたが、結果として連立はできません」と答えたことだ。あの海千山千の小沢代表に\"誠意”を感じさせるほどの説得力または演技力が、福田首相にあったのだ。

 会談結果を永田町的な政治力学で見ると、民主党の負った傷の方が自民党のそれよりも大きい。結果的に福田首相は民主党内と野党に「目くらまし」や「くさび」を打ち込んだことになる。自民党は公明党に不信感を招いたが、党内的にはそれほどのストレスは生じていない。逆に民主党は小沢代表への風当たり、疑心暗鬼が強い。というのも、明らかに小沢代表は福田首相の大連立の提案に乗りそうになったからである。福田首相の提案を直ちに拒否せず、持ち帰ったのが状況証拠である。民主党内では小沢代表の対応に公然と批判が生じており、今後責任追及に発展する可能性もある。民主党内だけでなく、野党内部の共産党や社民党からも強い批判が生じている。まさに給油反対で一枚岩に見えた野党にくさびが打ちこまれた形でもある。

 福田首相にしてみれば、大連立という政局を揺るがしかねない提案をしても、与党内は総じて大人の反応をしており、むしろリーダーシップを発揮したことになる。駄目でもともとという「駄目もと」提案でもあった。今後は、野党の動揺と相互不信、民主党内の波乱要素の中で複雑な政局が展開することが予想される。政治状況はいつ解散総選挙となってもおかしくない、寸前暗黒のまま推移するだろう。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム