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2022-10-31 09:13

これこそがホントウの「戦後政治の総決算」である

伊藤 洋 山梨大学名誉教授
 「『世界平和統一家庭連合(旧統一教会)』の友好団体が今年の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した『推薦確認書』を提示し、署名を求めていたことが分かった。選挙で支援する見返りに教団側が掲げる政策への取り組みを求めたもので、『政策協定』ともいえる内容だ。文書に署名した議員もいた」(2022/10/20朝日新聞)。
 
 この記事によれば、上記「推薦確認書」なるものに記載されていた「政策」とは、日本国憲法改正・安全保障体制の強化(軍備増強)・家庭教育支援法の制定・青少年健全育成基本法の制定・LGBT問題や同性婚合法化に反対・日韓トンネル実現の促進・内外共産主義勢力の攻勢阻止(以上ママ)などというもので、これらの政治テーマについて「教団側」の意見に自民党候補者が賛同することを条件として確認し合い、合意した場合には教団が選挙運動に無償で協力・支援するというものであったという。
 
 これは認証宗教団体の公認された合法的「宗教」行為ではなく、紛れもない政治活動であって、ここに要した資金が認証された宗教団体からの出援であったとすればそれは「政治団体」と言わなければならない。いま、国会で論じられている当該団体の宗教法人許認可の妥当性論議に大いに参照されなければならない行動であり、かつ実態である。
 
 他方、そういう法律的に行動が制限されるべき団体と野合を重ねてきた政治家の政治姿勢もまた断じて許さるべきものではない。政治家の彼らから言わせれば、相手が勝手に支援すると言ってきたから受けただけだというのかもしれない。あるいは宗教団体が後ろに張り付いていたことを知らなかったというのかも知れないが、政治家として行動する以前に見識として資格が疑われる状態でもある。
 
 事実としてこの団体が特定の党派に、かつ特定の政治家に組織的にすり寄っていく状況に鑑みて、その政治性は一国の政治的判断を誤らせる危険を十分にはらんでいる。そればかりか、その後ろ盾となっている教団「旧統一教会」は、その信者や信者の家庭から集めた巨額の資金を国外に送金しその外国団体の政治的・経済的活動に供されてきたという。
 
 こう見てくると、おしなべてこの団体を包括する全体系が国富の損失・国民の不利益につながっていたのであって、これを看過することは断じて許されない。政府は、厳正かつ早急に、当該「宗教」団体の法人格の「合法性」について「厳格な」結論を出すべきだ。
 
 この宗教団体の信者二世によって安倍晋三前々首相は一命を落とした。その「教団」をこの国に引き入れたのは他人ではない当時宰相=岸信介であった。その教団と間に安倍晋太郎を挟んで陰に陽に「縁」でつながっていたのが孫の安倍晋三氏であった。この間70余年、それはこの国の戦後史のすべてでもある。脈々とつながっていた歴史的「因縁(悪縁)」を絶つこれこそがホントウの「戦後政治の総決算」である。
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