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2007-10-25 20:27

連載投稿(2)「給油新法」に内閣の命運を賭けよ

杉浦正章  政治評論家
 いうまでもなく、日本の給油支援は、あの湾岸戦争のトラウマを原点にしている。130億ドルの戦費を支払って、クエートからは無視され、国際社会からは「日本は血どころか汗も流さない」と批判された事件である。当時米国の戦費要求を自民党幹事長として受け入れたのは小沢氏だ。また湾岸戦争後、トラウマ解消に先頭切って走ったのが小沢氏だ。小沢氏の「普通の国」論文の数々がそれを物語っている。

 その後「自衛隊の平和維持活動協力法」が1992年に成立した。その上に立って2001年の米同時多発テロ事件後、対テロ特措法が1か月の国会審議でスピード成立したのである。湾岸戦争のトラウマは昨年12月にも、自衛隊法を改正して、自衛隊の海外活動を自衛隊の本来任務と定めたのであり、現在まで脈々と継続している。

 パソコンの検索エンジンで「毀誉褒貶の激しい政治家」と打てば、小沢の名前がずらりと、しかも無限に並ぶ。その小沢一郎氏が、自らの権力欲という木を見て、大局の森を忘れ、給油新法つぶしという新たな目標へと変節しているのである。給油活動が長期停止または中止となれば、国際社会の失望は予想されるところだ。それよりも心配されるのが、せっかく芽生えた国際貢献への国民の意欲が萎えて、国民の間に無関心が助長されることだ。元の木阿弥の「給油挫折トラウマ」の幽霊が日本を徘徊することになる。

 まさに日本は給油新法で精神的な衰退をたどるかどうかの岐路に立たされているのである。冒頭述べたように、「安保の岸首相」並みの決意が福田首相には不可欠なゆえんである。首相はこの問題に内閣の命運を賭けるほどの問題意識を持ち、政府与党も、臨時国会での不成立をゆめゆめ野党のせいにしてお茶を濁すことを、今から考えてはならない。(おわり)
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