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2022-07-26 23:08

ウクライナ戦争の本質と教訓

角田 英明 鐘紡株式会社元社員、日本国際政治学会会員
 ロシアはピョートル大帝以来、歴史的に抜け難い拡張主義の国家であり、それが今般のウクライナ侵略の大きな要因となっているとする一部学者の見方もあるが、それは少しもプーチンという実質的独裁者の歪んだ歴史観と己の迷妄を背景にした度し難い野心と極悪非道の精神構造が根本要因であることを少しも緩めるものではない。否、国家の歴史的性格よりもヒットラー同様、当該独裁者の忌むべき人間性そのものが根本原因ではないか。
 何の咎もないウクライナへ侵略を開始し、第二次大戦終了後のニュールンベルグ裁判、極東裁判において問われ、多くの人物が処刑された数々の”人道に対する罪”に正しく該当する犯罪行為がいちいち挙げるまでもなく既に数限りなく行われているばかりではなく、直近では穀物輸出可とする合意直後に平然と輸出港施設をミサイル攻撃するプーチン。その言い出す言葉は全て虚偽と誤魔化しに終始し、約束事を躊躇なく反故にし、核の脅しにより選挙により選ばれた総じて善良な民主主義国家の気弱な指導者を怯えさす。これはマフィア、反社会的勢力そのものの有り様である。本来ならば”核の脅し”に屈さず決然と脅しには脅しをもって対抗するが如くの勇気と気概を持ち且つ賢明な熟慮と知恵を発揮し西側陣営をリードすべきバイデン大統領は残念ながら卒直に言ってその器ではないという以外にない。
 今は亡きジョン.F.ケネディーが今のこの時、バイデンの立場であったならどのように対応したであろうかと想像するのは興味深いところだ。そもそも戦争は始めさせてならない。戦争というものは一端始めさせてしまったならばそれを終結させることはなかなか難しいことであることは歴史が示している。それ故、既に繰り返し指摘されているがバイデンの”米軍は参戦しない”の事前の発言は愚かであるばかりか、そのような意味から多少弱まったとはいえ依然として世界に冠たる経済的軍事的大国であるばかりか民主主義、人道主義、法の支配を尊重する諸国のリーダーとして戦争の開始を抑止する使命を強く認識せず、何のイニシアティブの発揮も行使もしなかったことは重大な政治的誤りであった。大国の指導者としてはヒットラー以来の”ならず者のプーチン”と善良だけが取り柄の勇気も気概も知恵もないバイデン大統領の歴史的取り合わせがウクライナ国民にとって悲劇、否、世界にとって悲劇であった言うべきであろう。
 なぜなら、長引く戦争下、プーチンは己の勢力を増やす策略を開始し、中国などの反米国家や石油、ガスのエネルギーの供給、軍事援助等の手段を使って同様の独裁的、権威主義的国家を糾合させ世界を分断化させようと目論むことに及んでおり、かつそれに対してバイデン大統領が対応できていないことによって世界の平和、平穏の維持にとりウクライナ戦争からさらに次のステージの危険、リスクが生じる方向が生み出されるに到っているからである。
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