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2022-04-01 15:17

現実の国境線は常に不安定

荒木 和博 特定失踪者問題調査会代表
 ぴったりとではありませんが、大雑把に領土と言語と宗教と民族が重なるという意味では日本はかなり特殊な国だと思います。もちろんこれに入らない人もいますし、神道も宗教というよりは習俗という意味合いですが、いずれにしても大雑把には一致します。私たちはこれが当たり前のような気がしていますが、大部分の国家はそうではありません。また四方を海に囲まれた島国に住む私たちにとって「国境線」というのは抽象的に感じられるものです。かつては、朝鮮半島に中国との国境があり、樺太には北緯50度線の国境がありましたが、今はそのどれも存在していません。領土問題はありますが、国境線の鉄条網を隔てて日本が他国と向かい合っている場所はありません。この物理的な標がない日本の国境は、私達の国境線に対する認識を曖昧なものにしています。
 
 ロシアのウクライナ侵攻を見て、国境線が常に不安定なものだということをあらためて感じました。イスラエルと周辺国の関係、あるいは中国の歴史もそうですが、考えてみれば特に大陸の国家の場合、国境線は常に動いてきたと言えます。あるいは、今の世界は警察が弱くなった町でヤクザの勢力争いが行われているようなものなのかもしれません。結局力がなければどうしようもない、守ることもできないということです。平和は守るものではなく、守った結果が平和であり、平和を維持するためには自らが相手に脅威(こちらから他国の主権侵害はしないが、主権を侵されたら徹底的に反撃する)になることが必要であり、他国に依存するのは根本的な間違いです。まあ米軍も日本が何もしないのに反撃してくれるとは思いませんが。
 
 ロシア軍がウクライナにしているように、日本の国土に他国の軍隊が一気呵成に乗り込んでくることはありえるでしょうか。海に隔てられているということは、大規模な部隊が上陸作戦をするのが困難であるということですから、今後も日本本土への大部隊上陸という可能性は低いでしょう。しかし他方で、以前申し上げたように、日本列島の長大な海岸線をくまなく守ることは現実的に不可能で、技術と装備があればどこからでも入れますから、離島の占領はあり得るでしょう。それ以前に北朝鮮の工作船は何十年も平気で出入りして工作員を送り込み、拉致した日本人を北朝鮮に連れて行きました。
 
 見えない国境線をどう守るか、見えない国境線を越えて連れて行かれた人をどう取り返すか。あらためて現実を見る必要があると思った次第です。拉致被害者救出もそこから考え直す必要があるかもしれません。
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