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2022-03-22 13:01

(連載1)ロシアのウクライナ侵略を止めるには

船田 元 衆議院議員
 プーチン大統領はこの度のウクライナ侵略を、昨年秋から着々と準備してきた。ベラルーシとの合同軍事演習に託けて巨大な部隊をウクライナとの国境近くに駐留させ、北京冬季オリンピックが終わるのをじっと待っていた。プーチン大統領は多分、北京冬季パラリンピックの始まる前までに電撃的に侵攻し、ウクライナを無力化する計画ではなかったのだろうか。ところが予想以上にウクライナ軍の抵抗が激しく、またロシア兵士の士気も高くなく、思わぬ苦戦を強いられている。しかし両軍の戦力の差は如何ともし難く、いずれ全土がロシア軍によって制圧されるかも知れない。ウクライナの美しい自然や穀倉地帯、そして街が破壊される様子は、見るに耐えない。120万人を超える難民の列はあまりに無惨である。だから一刻も早く停戦させなければならない。
 
 21世紀の今日、よもやこんな前時代的な戦争がヨーロッパの一角で起ころうとは、予想だにしなかった。第二次世界大戦の古い映像を見ているかのようだ。たしかにロシアにも言い分はある。ゼレンスキー政権は当初、親ロシアと思われていたが、次第にヨーロッパ寄りになり、遂にNATO加盟を打ち出した。それはロシアの安全保障にとって、大きな脅威であることは間違いない。しかし如何なる理由あるにせよ、力による現状変更は認められない。ロシアの蛮行を許すことは、アジア情勢にも大きな影響を及ぼす。日本にとってもウクライナ情勢は対岸の火事ではなく、「我がこと」として対処しなければならない一大事だ。
 
 プーチンの理不尽な野望を挫くためには、まず民主主義という価値観を共有する国家群が、一枚岩となって国際社会で非難し続けることだ。更に制裁を強化して、ロシア経済に決定的なダメージを与えることだ。この結果世界のエネルギーや資源がショートして、返り血を浴びることも我々は覚悟しなければならない。もちろんガソリンや重油などの高騰対策をはじめ、国民生活への手当はきちんと行うべきことは言うまでもない。
 
 第二次世界大戦以来の国際情勢の緊迫の中、日本はどのような役割を担うべきか。制度的にも地政学的にも軍事的な貢献は制約されるが、人道支援は前例に拘らず踏み込んで行うべきだ。既にウクライナから120万人を超える人々がヨーロッパ各国に流入しているが、彼らだけに負担を強いるべきではない。地理的に離れているが、日本も積極的に避難民を受け入れるべきだ。難民受け入れに消極的と評されてきた日本のイメージを、この際払拭するチャンスでもある。その際はアフガニスタンのタリバン勢力から迫害を受ける、元日本留学生たちの救済も忘れないで欲しい。(つづく)
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